面白い
昔あるところに漁師達(りょうしたち)がおった。 あるとろりとした凪(なぎ)の日に、沖で漁(りょう)をしておったと。
土佐の並松(なみまつ)、今の高知県加美郡土佐山田町八王子(こうちけんとさやまだちょうはちおうじ)から、すずれ場のあたりは、今でこそ広い舗装道路(ほそうどうろ)がついて、道の両側(りょうがわ)には新しい家が建っちょりますが、昔は家ものうて、道の両方にはこじゃんと大きい木があって、うんと寂(さび)しい所じゃった。
ちょっと昔の話。高知県香南市夜須町(こうちけんこうなんしやすちょう)の弥作(やさく)さんというお人が高知へ行って、帰ってくるとき、むかしは歩きよりましたろう。ほんで、家に帰り着いたのが夜中時分じゃったそうな。
むかし、土佐の吾川郡吾川村(あがわぐんあがわむら)北川※1に助八というマタギ稼業(かぎょう)の好きな爺(じい)さんがおった。
とんと昔あったげな。 あるところにとても話し好きの爺さんがあったと。 毎晩(まいばん)毎晩若い衆(し)が幾人(いくにん)も来て、とてつもない話をしては、爺さんを喜ばしていたと。
むかし、ある冬の寒い日に、破(やぶ)れ衣(ごろも)を着たひとりの坊(ぼう)さんが托鉢(たくはつ)に歩いていた。
とんとむかし。 土佐(とさ)の野根(のね)の別役(べつやく)のおんちゃんが野根山越(のねやまご)えをしよったら、急に大雨が降りだしたそうな。
南国土佐では「ほらふき話」を「とっぽう話」という。土佐の「とっぽう話」は、とにかく陽気(ようき)で底ぬけに明るい。じめじめした暗さや、意地悪いたくらみといったものがない。
とんと昔、よく物忘れをする長吉(ちょうきち)という男がおったげな。 ある日のこと、畠(はたけ)へ行こうと思うて、鍬(くわ)をさがしたがどこにもない。クワクワクワクワというて探していたら、東から烏(からす)がクワクワクワと啼(な)いて飛んでいった。
むかし、農家では米俵(こめだわら)をあけて中の米をくみ出し、俵(たわら)の中の米が残り少のうなると、さかさまにして俵のまわりや底のところを棒(ぼう)で叩(たた)き、中の米を一粒(ひとつぶ)残さず出したそうな。
若い頃、おら毎日、鰻を釣りに行きよった。川の堤防の石垣に穴があったが、下から十三番目の穴だけは餌を近づけたら『がぼっ』と取られてしまう。おら、腹が立つやら気味が悪いやらで文次おじいに話したら、「やめちょけ、あれは極道鰻(ごくどううなぎ)じゃ」と言う。
これは私のおばあちゃんが、おばあちゃんのおじいさんより聞いた話ながやと。そのおじいさんは、大工の仕事をしていたということやけんど、ある日の朝、家を出るとき、「今日は仕事を早じまいして去ぬるき、灯はいらん」いうて、
これは本当にあった話らしい。あるところに爺(じい)さんと婆(ばあ)さんとが暮らしていたんだな。ある夜、この家へ泥棒(どろぼう)が入ろうとして中の様子…
昔、ある山の村で、作物(さくもつ)を荒(あ)らしまくった狐(きつね)が、山狩(やまが)りにあって逃(に)げ場(ば)を失い、炭焼(すみや)き小五郎(こ…
とんとむかし、土佐(とさ)の安田の奥(おく)の中山に、貧乏(びんぼう)な男がおったそうな。 なんぼ働いても暮(く)らしがようならんき、てっきり貧乏神に食いつかれちょると思いよった。
むかし、土佐(とさ)の窪川(くぼかわ)に万六という男がおった。地主の旦那(だんな)の家で働く作男(さくおとこ)だったが、お城(じょう)下から西では誰(だれ)ひとり知らぬ者がないほどのどくれであったと。
とんとむかし、土佐(とさ)の窪(くぼ)川の藤(ふじ)の川に、久米七(くめしち)という男がおったそうな。土佐の人ではなく、肥後(ひご)の生まれとか、また、久米(くるめ)の仙(せん)人の生まれかわりとか言われたりして、その正体ははっきりせざったと。
とんと昔あったっつうわ。 昔、あるところに、家が隣(とな)りあってあったと。一軒(けん)の家は夫婦喧嘩(ふうふげんか)が絶(た)えない家で、もう一軒は夫婦喧嘩の無い家だったと。
むかし、土佐藩(はん)のお抱(かか)え鉄砲鍛冶(てっぽうかじ)に五平という人がおったそうな。 五平の鉄砲は丈夫(じょうぶ)な作りと重量感で、今でもよう知られちょる。 ところで北川村の島という所に、その五平の作った鉄砲を持った猟師(りょうし)が住んじょった。
とんと昔、あるところに何代も続いた大きな家があった。 土佐では、古い家ほど火を大切にして、囲炉裏(いろり)には太い薪(たきぎ)をいれて火種が残るようにしよったから、家によっては何十年も火が続いておる家もあったそうな。
私の父は、怪(あや)しいものをてんで信じない人でした。 昔、まだ道路がついていなかった頃(ころ)、高知に用のある人は、みんな相川(あいかわ)の山を越(こ)え、土佐山(とさやま)を抜(ぬ)けて行かなければならなかったといいます。
むかし、むかしの大昔。 鯨は山に棲んでおったと。 大きな体で動きまわるたびに木がバキバキ倒され、草がすりつぶされる。たくさん食うので山の動物が減ってきた。
とんとむかし、たいそう男の子が好きな夫婦がおったそうな。暇(ひま)さえあったら生まれてくる子供の名前を考えておったと。 さて一人目の子供、これが男だったので、あんまり嬉(うれ)しゅうて、つい、“うれしい”という名前をつけた。 そうして二、三年たって、また男の子が生まれた。 さっそく親戚(しんせき)をあつめて、喜(よろこ)べ喜べ、のドンチャン騒(さわ)ぎ。
とんとむかし。高知県土佐の幡多の中村に泰作さんというて、そりゃひょうきんな男がおったそうな。 人をだますのが好きで、人をかついじゃ面白がりよったと。 ある日のことじゃった。 泰作さんは屋根にあがって、ひとりで屋根ふきをしょった。 ほいたらそこへ、近所の若いしらが二、三人で通りかかったちゅうが。
明治から大正の頃のようじゃが、池の集落に、宮地というお爺が居って、いってつ者であったと。 楽しみといえば、中央の池に出て、鯉や鮒、鰻などを釣ってきて、家の前の堀池で飼い、煮たり焼いたり酢にもして晩酌の肴にしていたそうな。
とんと昔、ある村の一番大きな金持ちの家へ、ある日、ひとりのみすぼらしいなりをしたお遍路さんがやって来たそうな。門口に立って、御詠歌を歌い、何がしかの寄進を乞うたと。すると、そこの奥さんは、「このせわしいときに、お前なんぞにとりあっていられん。さあ、とっとと出て行き」と言うて、邪険に追い追い払ってしもうた。
むかし、ある所にうんと念仏が好きなお婆さんがおったそうな。この念仏婆さんも、寄る年波には勝てずに、とうとう死んでしもうたと。
むかし、高知県土佐の幡多の中村に、泰作さんというて、そりゃひょうきんな男がおったそうな。ある日ある時のことよ。泰作さんは山へ行ったそうな。ところが家を出るときに、だいぶあわてちょったけん弁当を忘れてきたと。
むかし、むかし。土佐の長沢村というところに、延右衛門いう猟師がおったそうな。延右衛門は村一番のえらもんで、どんな山奥でも夜の夜中を一人でのし歩き、ちっとも恐がらんような男じゃったと。
土佐では河童のことをエンコといいます。エンコは、川が大きな淵になっているところに棲んでいて、夜になると岸へ上がって歩き回ります。エンコの歩いたあとは、何ともいえない嫌な生臭い匂いが残っていますので、すぐ判ります。
あれは、昭和のはじめころじゃったと思います。ある晩(ばん)、ひょっと目が覚(さ)めてみると、急に体を押(お)さえつけられて動けんようになりました。
とんとむかし。四国(しこく)の土佐(とさ)、今の高知県(こうちけん)の中村(なかむら)に、泰作(たいさく)さんというとんちもんが住んでおった。
むかし、農家の人は、一粒の米も無駄にせられんいうて、米俵の中の米が残り少のうなると、俵をさかさにして、俵のまわりや底のところを棒で叩いて、中の米を一粒残さず出したそうな。
とんとむかし、ある刀鍛冶のところへ、兼光(かねみつ)という若い男が弟子(でし)いりしたそうな。兼光はまじめに働(はたら)いて、師匠からも気にいられ、何年かすると師匠の向こう鎚(づち)を打つまでに上達したと。
むかし、窪川(くぼかわ)の万六(まんろく)といえば、土佐のお城下から西では誰一人として知らぬ者はない程のどくれであったと。ある日、あるとき。旦那(だんな)が所用(しょよう)があって、高知(こうち)のお城下まで行くことになったそうな。
高知県安芸郡北川村(こうちけんあきぐんきたがわむら)の野川に、要三(ようぞう)といって、とっぽこきの面白い男がいた。明治の頃に生きて、かずかずのとっぽ話をふりまいて今に語り継がれている。とっぽ話というのは、ほら吹き話のことでこれもそのひとつ。
むかし、ある武士の屋敷にひとりの下男が奉公しちょったと。あるとき、この下男が刀鍛冶の家へ行って、「おらも武士の家へ奉公しちょるきに、刀の一本くらいは持っちょらにゃいかんと思う。すまんが一本作ってくれんか」とかけあった。
むかし、あるところにお父(とう)と息子が住んであったと。あるとき、馬を一頭、町へ売りに行くことになったと。お父と息子は、さてどうやって馬を連れて行こうか…
むかし、土佐藩(とさはん)のお抱え(おかかえ)鉄砲鍛冶(てっぽうかじ)に五平(ごへい)というお人がおったそうな。五平の作る鉄砲は重さも頑丈(がんじょ…
昔、大豆(だいず)と大根と牛蒡(ごぼう)と人参(にんじん)とジャガ芋(いも)は友達だったそうな。大豆が出世して豆腐(とうふ)になったと。豆腐になった…
昔、土佐(とさ)の中村(なかむら)に泰作(たいさく)さんという剽(ひょう)げた男がおって、とぼけた話しをたくさん今に語り残している。あるとき、旅で相…
むかし、たぶん江戸時代の頃じゃと思います。ここは高知県南国市(なんごくし)篠原(しのはら)ですが、この土地に、渋谷権右衛門(しぶやごんうえもん)とい…
むかし、高知県須崎市(すさきし)というところに、ねじ金(きん)という、とてつもない力持ちがおったそうな。あるとき、村の相撲大会(すもうたいかい)があ…
大正の頃、土佐の羽根村(はねむら)に留(とめ)やんという大工がおった。あるとき、嫁にやった娘に子供が出来そうな、いうき、朝まだ暗いうちに隣り村へ出か…
土佐では河童のことをエンコウといいます。エンコウは、川が大きな淵(ふち)になっているところに棲んでいて、夜になると岸へ上(あが)って歩き回ります。エ…
むかし、あるところに一人の器量(きりょう)よしの娘がおったと。ある晩、娘の部屋で笑い声がするので、母親がそおっとのぞいてみると、娘は、けしきのいい若…
昔、ひとりの侍(さむらい)がお供を連れて、山道を越えよったげな。うんと日が照る暑い日のことで、侍もお供の者も「暑い、暑い」ち言いながら歩きよったとこ…
むかし、あるところに、とってもケチな和尚(おしょう)さんがおったげな。カメに水飴(みずあめ)を入れて、ひとりでなめているんだと。小坊主(こぼうず)が…
※音声をお聞きになる際、始まるまでしばらくお時間が掛かる場合がございます。
※音声と文字は一部表記の異なる部分がありますが、ご容赦下さい。
語り:井上 瑤/平辻 朝子
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中学校の七不思議はしらなかった。
ななつめのはなしはなにだろう( 10歳未満 / 男性 )
蜘蛛女は怖かったけど、面白かったです。( 20代 / 女性 )
大好きだった井上瑤さんを検索して たどり着きました。 アニメでよく聞いていた瑤さんの声をまた聞けて嬉しかったです。 だいぶ前に収録したものですが、今この様なネットで聞けるのは不思議な気持ちでありがたいです。 沢山の作品がある様なので これから少しづつ聞いて瑤さんを思い出します。( 40代 / 女性 )
友達は雪ちゃんが雪から授かった子だって知ってたのになんで火の上を飛ばせようとしたんだよ。( 10歳未満 / 女性 )
猿のしっぽが取れるのが痛そう。( 10歳未満 / 男性 )
酷い話。地主もせがれも途中でやめさせたら良かったのに。たみがあまりに可哀想。 「せがれと旦那もなんとか言ってやれ。極秘で結婚すれば良かったのに」(10歳未満 女性)( 30代 / 女性 )
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