― 島根県 ―
語り 井上 瑤
再話 六渡 邦昭
うぐいすが啼(な)く頃になりましたねえ。
うぐいすはきれいな鳥で、ほんとに立派(りっぱ)な巣(す)うもこしらえるのよ。
昔にね、うぐいすの巣うを鳩(はと)が見て、あんな立派(りっぱ)な巣うをおれもこしらえられたらいいなあって。
それで、うぐいすに習(なら)いに行ったそうよ。そうしたら、うぐいすはちいっとも嫌(いや)がらないで、丁寧(ていねい)に丁寧に教えたって。
「ああして、こうして」
って。
そうしたら鳩は、ちょっとせっかちでね、話半分ぐらいしか聞かないで、
「ははあ、ああそうか、ああそうか、はあそうですかあ」
って、あたふたと帰ったそうよ。
我家(わがや)へ帰った鳩は早速(さっそく)巣うこしらえはじめたって。ところが、なかなか、うぐいすの巣うのようには作れない。
もうちいっと身い入れて聞いときゃよかったとは思うものの、
「まあ、ええわあ」
って言うてね、不格好(ぶかっこう)な巣うのまま住んだそうよ。
昔からのたとえに、「鳩合点(はとがてん)」と言う言葉があるけれど、これは少しばかり聞いて、
「ああ、そうか、そうか」
って言うような人のことを指すそうよ。
これぽっきり。
民話の部屋ではみなさんのご感想をお待ちしております。
「感想を投稿する!」ボタンをクリックして
さっそく投稿してみましょう!
むがし、父(てで)と母(あば)と子供(こども)の三人居(い)てあったわけだ。 貧乏(びんぼう)で貧乏で、正月来たて食う物なも無(な)ぁふでナ、銭(じぇん)コはだけて、 「今夜年取りだんて、米コ買って来て、飯(まま)炊(た)いて食うど」 どで、その子さ、米買わせに行かせた訳(わけ)だ。
「鳩合点」のみんなの声
〜あなたの感想をお寄せください〜