みんな、顔が同じくらいふけていてどうして自分より歳が下ということが分かるのかな
― 山口県 ―
語り 井上 瑤
再話 六渡 邦昭
昔話の中には、後世(こうせい)に語り継がれるかどうか、よくわからない話が沢山(たくさん)あります。
はたして生き残るのか、はたまた消えてしまうのかは、そのお話の生命力次第ですから、無用の心配はしないで、今ある話をただ単純(たんじゅん)に、あははと笑っていればいいのかもしれません。
これもそんなお話のひとつ。
むかし、むかしの大昔。
あるところに、三浦大介というお爺(じい)さんがあった。
ある日のこと、大介爺さんは、
「世の中に、このわしほどの年寄りは生きておるまいて、もう生まれてから百六年にもなる」
と、ひとりごちしながら道を歩いていたと。
すると、うしろから、
「お若いの、お若いの。あんたどこへ行ってかの」
という声がした。
挿絵:福本隆男
大介爺さんは足をとめ、後ろをふりむいて、
「お若いのとは何をいいんさるか。この三浦大介は百六歳じゃ」
というた。
すると相手は、
「この浦島太郎は八千歳じゃ」
というてきた。大介爺さん、
「いや、まいりました」
とあやまったと。
それから二人して、いくがいくがいくと、森の出口で、岩の上に胡座(あぐら)をかいている一人の老人と出逢うた。その老人が、
「そこのお若い二人、どこへ行ってかの」
というので、二人は足をとめ、
挿絵:福本隆男
「何を言いんさるか、若いのとは。この三浦大介は百六歳」
「浦島太郎は八千歳じゃ」
というた。すると老人は、
「この東坊作(とうぼうさく)は九千歳じゃ」
というた。これには二人もおどろいて、
「いや、まいりました」
「まいりました」
とあやまったと。
それから三人して、いくがいくがいくと、向こうから一人の老婆(ろうば)がやってきた。老婆が、
「お若いの、三人してどこへ行ってかの」
と、三人の顔をかわるがわる見ながらいうた。
三人は足をとめ
「何を言いんさるか、若いのとは。この三浦大介は百六歳」
「浦島太郎は八千歳」
「東坊作は九千歳」
と、口ぐちに言うた。すると老婆は、
「わたしゃあ、七億婆(ななおくばあ)でござります」
というた。
挿絵:福本隆男
これには三人ともども舌をまき、
「いや、まいりました」
「まいりました」
「まいりました」
と、あやまったと。
これきりべったりひらのふた。
みんな、顔が同じくらいふけていてどうして自分より歳が下ということが分かるのかな
とっても面白かったです ( 10代 )
びっくりしました‼️( 10歳未満 / 女性 )
無理しすぎ ( 10歳未満 / 女性 )
7億歳はないです怖い ( 10歳未満 / 男性 )
七億歳はないですね ( 10歳未満 / 男性 )
無理がある( 10代 / 男性 )
無理がある( 10代 / 女性 )
ええっ!とびっくりしながら笑ってしまいました。挿絵もおもしろいですね。( 50代 / 女性 )
そんなに生きられないよ!
弘安(こうあん)四年、西暦(せいれき)では一二八一年、今からおよそ七〇〇年以上もの昔、九州の福岡県の博多(はかた)あたりの浜辺(はまべ)へ、海をへだてた隣(となり)の国、元(げん)の軍隊がたくさんの軍船に乗ってせめ寄ってきた。
「としくらべ」のみんなの声
〜あなたの感想をお寄せください〜