民話の部屋 民話の部屋
  1. 民話の部屋
  2. 世間話にまつわる昔話
  3. 鳩合点

※再生ボタンを押してから開始まで時間がかかる場合があります。

はとがてん
『鳩合点』

― 島根県 ―
語り 井上 瑤
再話 六渡 邦昭

 うぐいすが啼(な)く頃になりましたねえ。
 うぐいすはきれいな鳥で、ほんとに立派(りっぱ)な巣(す)うもこしらえるのよ。
 昔にね、うぐいすの巣うを鳩(はと)が見て、あんな立派(りっぱ)な巣うをおれもこしらえられたらいいなあって。
 それで、うぐいすに習(なら)いに行ったそうよ。そうしたら、うぐいすはちいっとも嫌(いや)がらないで、丁寧(ていねい)に丁寧に教えたって。
 「ああして、こうして」
って。
 そうしたら鳩は、ちょっとせっかちでね、話半分ぐらいしか聞かないで、
 「ははあ、ああそうか、ああそうか、はあそうですかあ」
って、あたふたと帰ったそうよ。

 
 我家(わがや)へ帰った鳩は早速(さっそく)巣うこしらえはじめたって。ところが、なかなか、うぐいすの巣うのようには作れない。
 もうちいっと身い入れて聞いときゃよかったとは思うものの、
 「まあ、ええわあ」
って言うてね、不格好(ぶかっこう)な巣うのまま住んだそうよ。
 昔からのたとえに、「鳩合点(はとがてん)」と言う言葉があるけれど、これは少しばかり聞いて、
 「ああ、そうか、そうか」
って言うような人のことを指すそうよ。

  これぽっきり。

「鳩合点」のみんなの声

〜あなたの感想をお寄せください〜

一番に感想を投稿してみませんか?

民話の部屋ではみなさんのご感想をお待ちしております。

「感想を投稿する!」ボタンをクリックして

さっそく投稿してみましょう!

こんなおはなしも聴いてみませんか?

宝の米俵(たからのこめだわら)

 むかし、農家では米俵(こめだわら)をあけて中の米をくみ出し、俵(たわら)の中の米が残り少のうなると、さかさまにして俵のまわりや底のところを棒(ぼう)で叩(たた)き、中の米を一粒(ひとつぶ)残さず出したそうな。

この昔話を聴く

笠地蔵(かさじぞう)

昔、あるところに貧乏な夫婦があったと。大晦日(おおみそか)が来たけれども、晩の年越(としこし)の仕度(したく)も出来ないので、女房が、「いままでたん…

この昔話を聴く

婆コロリン(ばあころりん)

 むかし、あるところに正直な婆(ばあ)さんがおったと。  あるとき、婆さんは団子(だんご)をこしらえて、親類(しんるい)の家へ持っていった。そしたら途中で石につまづいて転んでしもうた。

この昔話を聴く

現在886話掲載中!