― 山形県 ―
語り 井上 瑤
再話 佐藤 義則
整理・加筆 六渡 邦昭
昔、あるどこさ、爺(じじ)と婆(ばば)、あったけド。
あるどぎ、旅道中(たびどうちゅう)の座頭(ざとう)さま、
「どうぞ、一晩泊めて呉(け)らっしぇ」
って、訪ねてきたけド。爺婆ぁ、
「良(え)げす、えげす」
って泊めだげんとも、困ったごどにゃ、ほの晩餉(ばんげ)にボタ餅(もち)コこさえで食うべどって居だがども、なんせ爺婆の貧乏所帯(びんぼうしょたい)だもんで、爺婆の分ばりしか無(ね)がったはで、なじょすんべって思案(しあん)したけド。
ほんで、婆ァ、こっそら、
「爺や、まんず寝ででござえ。夜ン間、ボタ餅コ出来(でげ)だらば爺ば呼ばっさえて。なス」
って、語りコしたけド。すっと、爺ァ、
「婆や、声コ出して呼ばってァ、座頭さまさ感づがって大事(おおごと)ら。ほんで俺の足さ細引き綱(つな)コ結い付けで置ぐはげ、ボタ餅コ出来たらぐぐっと引っぱって、教えろや」
って、語りコしたけド。すっと、婆ァ、
「ハァ、これらだば座頭さまさ見ねぐて、良(え)え案配(あんばい)だな。」
って、爺の足コさ細引き付けたけド。爺ァ、
「座頭さま、座頭さま、早よ寝んべァ、なス」
って、爺ど座頭さまど二人ァ、寝だけド。
夜ん間えなってがら、婆ァ、こっそらボタ餅こしゃえで、くっくっと細引きの綱コ引っ張ったら、こりゃ何としたごどが、爺ァンでねぐて、座頭さま引っ張らって来たけドヤ。婆ァ、
「あじゃ、なじょすんべ」
どて、あたらふたらしてるど、座頭さま、
〽 餅つぐど 目にはさやかに見えねども、
足の綱にぞ驚(おどろ)かされぬ
って、歌コ詠(よ)んで、一人でボタ餅コみんな食ってすまったけド。
ドンペ カラッコ ナエケド。
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南部と秋田の国境(くにざかい)に、たった二十軒(けん)ばかりの淋(さび)しい村がある。この村から秋田の方へ超(こ)えて行く峠(とうげ)の上に、狼(おおかみ)の形をした石が六個(こ)並(なら)んでいる。
長崎では、七月の最後の日曜日、決まって港や深堀(ふかぼり)、三重(みえ)などの村々から、ペーロンのドラの音がひびいてきます。一隻(いっせき)の和船に、三、四十名の若者が、手に手にカイを持って乗り込み、勇(いさ)ましいドラの音にあわせて漕(こ)ぐのです。
とんと昔もあったげな。狐と狸とあったげな。昔から、“狐は千年昔のことを識り、狸は三日先のことを知る”ということだそうな。あるとき、狸が山道をと通っていたら狐と出逢うたそうな。
「座頭さまとボタ餅」のみんなの声
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