めちゃくちゃ笑いました。 笑えて子供が寝ませんでした(笑)( 40代 / 女性 )
― 宮城県 ―
語り 井上 瑤
再話 佐々木 徳夫
整理 六渡 邦昭
むがす、むがす、あっとこぬ(に)、子持たずのお爺んつァんどお婆んつァんが居(い)だんだど。
二人だげで淋(さび)しくてなんねェもんだがら、
「なじょな童(わらし)コでもええがら、どうが、授(さず)げて呉(げ)らえッ」
ど、一心に神さんさ、願、掛(か)けたんだど。
ほすてるうずぬ、お婆んつァんの脛(すね)が、赤ぐふぐれ上ってきたんだど。だんだん大っきぐなって、一晩(ばん)大病(おおや)みすたっけェァ、ひとりでぬ破(やぶ)けで、中がら愛(め)んちゃこえ赤ん坊(あかんぼう)が生まれできたんだど。
大きさが小指ほどなんで、ボッツと名付げで手塩にかげで育てだんだど。
とごろがボッツは、何時(えづ)までたっても、さっぱり大きくなんねェがったんだど。
ある日のごど、童コ達が橋の上でコマ回すてたんだど。ほれば見だボッツは、お爺んつァんどお婆んつァんさ、
「コマ回す、見さ行ってええすか」
ど、聞いだんだど。
ほすたっけェァ、お爺んつァんどお婆んつァんは、
「おめぇ、並(なみ)はずれて小(ちゃ)っこいがら、みんなぬ踏(ふ)んづげられだり、風ぬ吹(ふ)っ飛ばされるど大変(てえへん)だがら、行ぐな、行ぐな」
ど、止めたんだど。
ほだけんども、ボッツがしきりにせがむもんだがら、とうどう負げてすまって、コマ回すば見さやったんだど。
とごろが、コマ回す見でるうずぬ、サーッと、風が吹いでぎて、ボッツは川さトボンと落どされですまったんだど。
お爺んつァんどお婆んつァんは、晩げぬなってもボッツが帰(け)ェって来ねェんで、心配で心配で寝(ね)づかれねェがったんだど。
次の日も、ほの次の日も、またほの次の日も帰ェって来ねェがったんだど。
ほんで、お爺んつァんどお婆んつァんは、諦(あきら)めでボッツが好きだった鮭(さけ)でも神棚(かみだな)さ上げっぺェど思ったんだど。
ほごで、お爺んつァんは、町へ行って鮭ば買ってきたんだど。
お婆んつァんが、包丁でほの鮭は切っぺェどすたっけェァ、腹(はら)ン中がら、
「そっと裂(さ)げ、そっと裂げ」
どゆう声がすたんだど。
お婆んつァんは、不思議(ふすぎ)ぬ思って、そっと裂いで見だっけェァ、死んだと思ったボッツが飛び出すて来たんだど。
お爺んつァんどお婆んつァんは、
「えがった、えがった」
ど、ゆうて、うんと喜んだんだど。ほすて、
「おめえ、鮭の腹ン中さ、なすて入(へえ)ったんだ。なんぼが苦すがったべェ」
ど、ゆったけァ、ボッツァ、
「おらァ、コマ回す見てるうずぬ(ちに)、風ぬ吹っ飛ばされで、川さ落つですめェすた。
ほすて、鮭ぬ(に)丸呑(の)みされたげんども、鮭の腹ン中ぬ腹子がいっぺぇあって、ほの腹子さ、おらの顔がひとづ、ひとづ映(うつ)るもんだがら、うんと面白がった。
晩げは、腸(はらわた)ば枕(まくら)ぬすて、のうのう寝(ね)すた。
ほだげんども、今日はなすてだが、うんと苦すくて仕方がねがった」
ど、ゆったんだど。
ほしたら、お爺んつァんどお婆んつァんは、
「ほだべェ、ほだべェ。この鮭、二、三日店晒(たなざら)すされでだんでェァへたすりゃおめえ、死んですまったべェ。これがらは、ゆうごど聞けよ」
ど、ゆったんだど。
このごどがあってがら、ボッツは、すっかり懲(こ)りで、お爺んつァんどお婆んつァんのゆうごどば、よっく聞くようぬ(に)なったんだど。
こんで めでたす めでたす。
めちゃくちゃ笑いました。 笑えて子供が寝ませんでした(笑)( 40代 / 女性 )
昔、あるところに、人の住まない荒(あ)れた屋敷(やしき)があったそうな。何でも昔は、分限者(ぶげんしゃ)が住んでいたそうだが、どうしたわけか、一家みな次々に死に絶(た)えてしもうて、そののちは、だあれも住む人もなく、屋敷と仏壇(ぶつだん)だけが荒れるがままの恐(おそ)ろしげになっておった。
「戻った小指ボッツ」のみんなの声
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