民話の部屋 民話の部屋
  1. 民話の部屋
  2. 面白い人・面白い村にまつわる昔話
  3. ダンゴドッコイショ

※再生ボタンを押してから開始まで時間がかかる場合があります。

『ダンゴドッコイショ』

― 神奈川県 ―
語り 井上 瑤
再話 大島 廣志
再々話 六渡 邦昭

 むかし、ある村に、ちょっぴり頭の弱いムコさんがおった。
 あるとき、ムコさんは、山一つ越したヨメさんの実家へ、ごちそうによばれて行った。
 ヨメさんの親は、よろこんでよろこんで、ヤレ食え、ソレ食え、とダンゴをたあ―んとごちそうしてくれた。
 ムコさんは、出されたものがあんまりうまいので、ムシャムシャ食いながら、
 「こんなうまいもんは、はじめてだ。これはなんというものだ」
とたずねた。すると、ヨメさんの親は、
 「これは、ダンゴというもんだ。お前さんとこにヨメに行った娘は、ダンゴ作りが上手だから、帰ったら作ってもらいなされ」 

というた。


 それを聞いたムコさんはうれしくてたまらん。忘れちゃならんと思うて、ヨメさんの実家にいる間じゅう
 「ダンゴ、ダンゴ、ダンゴ、ダンゴ」
と大声で言うていた。帰り道も忘れんように
 「ダンゴ、ダンゴ、ダンゴ、ダンゴ」
と言いながらあるいていた。
 
 そうしたら、小川があったので
 「ドッコイショ」
とかけ声をかけて小川を飛びこした。すると今度は、
 「ドッコイショ、ドッコイショ、ドッコイショ、ドッコイショ」
と言いながら家に帰って行った。


 やっと自分の家に着いたムコさんは、いきなりヨメさんに
 「お前の実家でドッコイショという、うまいもんをごちそうになった。すぐにドッコイショを作ってくれ」
と言うた。ところが、ヨメさんはなにがなんだかさっぱりわからん。
 「ドッコイショってなんだ」
と聞き返すと、
 「お前の親が、お前はドッコイショの作り方が上手だと言うていたのだから、知らんはずはない」
 「そんなこと言うても、ドッコイショなんて知らん」 
 二人で言い争いをしているうちに、ムコさんはとうとうおこってしまい
 「これほど言うても分からんか」
と言うと、ヨメさんの頭を思いきりぶんなぐった。たちまち大きなコブが出来た。


 「あいたたたぁ、頭にダンゴのようなコブができた」
 ヨメさんが言うと、ムコさんは、ハッと気がついて、
 「おお、そうだ、そのダンゴのことよ」
 こう言うたんだと。

 いきがさけた

「ダンゴドッコイショ」のみんなの声

〜あなたの感想をお寄せください〜

驚き

このお話は以前から我が家で冗談に使われていましたが、 地元神奈川県の話と知って驚きました。( 50代 / 男性 )

驚き

川がなかったらドッコイショに変わっていなくて、お嫁さんにだんごのようなコブができなかったのに。お嫁さんかわいそうww( 10歳未満 / 女性 )

楽しい

おいしい おいしいと言いながら食べてくれたら、気持ちいいでしょうね。頭の弱いムコさんという設定ですが、さっそく作ってくれと言うところとか、素直なムコさんで、久しぶりにほっこりしました。( 40代 / 女性 )

もっと表示する
悲しい

ヨメさん,大丈夫。( 10歳未満 / 女性 )

怖い

いくらいらついても、たたかなくても・・・( 10歳未満 / 女性 )

驚き

だんごを、どっこいしょと間違えたむこさん、ちょっとおドジだと思った。( 10歳未満 / 女性 )

驚き

だんごがいつの間にかどっこいしょになる話がまさか地元神奈川の話だとは思いませんでした。神奈川出身ではない父がよく話聞かせてくれた物語でした。( 男性 )

こんなおはなしも聴いてみませんか?

河童の手紙(かっぱのてがみ)

 むかし、あるとことに大きな沼(ぬま)があった。  沼の東のはずれに、兄と弟が隣(とな)りあって暮(く)らしてあったと。  兄は、沼のまわりの繁(しげ)り過(す)ぎた木の枝(えだ)を払(はら)ったり…

この昔話を聴く

トト、おるかぁ(とと、おるかぁ)

昔、ある山の中に、若い夫婦者があったと。二人には子供もなかったし、人里離れた山の中だし、身を寄せあって、仲好う暮らしていた。

この昔話を聴く

嫁礁(よめぐり)

能登半島(のとはんとう)一番先っぽに狼煙(のろし)という所があるがの、この狼煙の沖に暗礁(あんしょう)がありますだ。海岸から四里(よんり)ばかりもあ…

この昔話を聴く

現在886話掲載中!