ある意味、立派!(笑)( 50代 / 女性 )
― 福井県 ―
語り 井上 瑤
再話 六渡 邦昭
むかし、あるところに、とほうもない嘘つき爺がおったと。
爺の若い頃、近所の人が嫁さんを世話しようとしたら、相手の娘っこに、
「エ―あの人ぁ、そんなあ、うそでしょ、おらやんだぁ」
と言われたと。それからこっち、女房もなくずうっとひとりで暮らしておったと。
あんまり嘘ばっかりつくので、村の人達もあきれて、だんだん相手にしなくなったと。
だぁれも近づく者がいなくなると、嘘つき爺は、
「嘘袋(うそぶくろ)がサビつきそうだ。あぁあ嘘つきてえなぁ」
と、毎日、ブッツンコブッツンコつぶやいておったと。
あるとき、嘘つき爺が病気になって、とうとう死ぬばかりになったと。
が、だぁれも見舞ってくれるものがない。
そこで爺は、近所の衆や、親せきの者たちを集めて
「おらは、まもなく死んでいくだ。皆の衆には世話になったで、小遣いをためた金が庭の柿の木の下さ埋めてあるのじゃ。それ、皆(みんな)で分けてくろ。それにしても、死ぬ前に熱い粥(かゆ)の一杯(いっぺエ)も食(く)いてえなぁ」
と言ったと。
これを聞いた村の衆と親せきの衆は、
「死ぬ際(きわ)まで、まさか嘘はこくめえ」
と、いろいろ介抱(かいほう)してやったと。
嘘つき爺は熱い粥を腹いっぱい食べて死んでいったと。
野辺送りもしてやってから、みんなは庭の柿の木の下を掘ったと。そしたら爺の言葉通りに小さい箱が出てきたと。
「ちょっくら開(あ)けてみなんし」
みんなは、ワクワクしてそのふたを取ってのぞきこんだと。
そしたら、何とまあ呆れたことか
――うそのつきじめえ――
と書いた紙切れが入れてあったと。
そうらいべったり貝の糞
かち栗数えてへんころへんころ
ある意味、立派!(笑)( 50代 / 女性 )
嘘つき爺は、どこまでも嘘つきだなと思いました。
むかし、むかし。 ある冬の寒い日に、漁師(りょうし)が氷に開けた穴から釣(つ)り糸をたれて、数匹(ひき)の魚を釣り上げたと。 「どれ、寒くもあるし、腹(はら)もすいたし、こんなところで、帰るとするか」 というて、橇(そり)に魚を乗せて帰ったと。
昔、あるところに、人の住まない荒(あ)れた屋敷(やしき)があったそうな。何でも昔は、分限者(ぶげんしゃ)が住んでいたそうだが、どうしたわけか、一家みな次々に死に絶(た)えてしもうて、そののちは、だあれも住む人もなく、屋敷と仏壇(ぶつだん)だけが荒れるがままの恐(おそ)ろしげになっておった。
若い頃、おら毎日、鰻を釣りに行きよった。川の堤防の石垣に穴があったが、下から十三番目の穴だけは餌を近づけたら『がぼっ』と取られてしまう。おら、腹が立つやら気味が悪いやらで文次おじいに話したら、「やめちょけ、あれは極道鰻(ごくどううなぎ)じゃ」と言う。
「最後のうそ」のみんなの声
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