サメ怖い( 10代 / 女性 )
― 山形県 ―
語り 井上 瑤
再話 六渡 邦昭
昔々、因幡(いなば)の国に白い兎がいたそうな。
毎日浜辺にやって来ては、
「何とかして、海渡って向こう岸さ行ってみてえなあ。んだげんども俺(お)ら泳がんねえし、海には何がいるか分(わ)がんねえから、途中で殺されっかわかんね。何とか無事に向こうさ行ぐ工夫ないべか」
と思って、ため息ついていたそうな。
そしたら、あるとき、ええこと考え浮んだ。
ワニザメを並べて、その背中の上を行くといいって。
「んだら」
っていう訳で、ワニザメに相談したと。
「ワニザメ君、ワニザメ君、海のお前の数が多いか、陸(おか)の兎の数が多いか、比べっこすんべ」
「どうやってだ」
「お前だち海さ並んでみろ。おれ、一匹一匹勘定して行くから。勘定し終ったら向こうで兎ばみな集めるから。ほしたらお前が勘定すればええ。数が多い方が勝ちだ」
「わがった。ええがんべ」
っていう訳で、ワニザメは仲間みんなに声掛けて、こっちの岸から向こうの岸まで、ずらあっと並んだと。
「さあ、数えれや」
「ようし、行くぞぉ」
白い兎は得意になって、ワニザメの背中をピョンコ、ピョンコ跳ねて向こう岸まで行ったと。
いま一歩で陸さ上がるっていうとき、嬉しくなって、
「おれにだまされているとも知らず、こうして並んでくれてありがとうよ。おれ、数なの、白兎なの集める気なの何もないなだ。お前だちの背中渡って、向こう岸さ行きたくってこういうこと言ったんだ」
って、つい言ってしまったと。
それを聞いた最後のワニザメは、怒って、白い兎をガブリッてくわえて、皮をはいでしまったんだと。
白い兎は、痛くて痛くて何とも仕様がないのだと。
泣いていると、そこへ神様が大勢通りかかって、
「これ兎、どうした」
「こういうわけで…」
「ああそうか、それは可哀そうに、それではお前は、海の水に入れ。そうしたら、たちまち毛がはえる」
って言ったと。
白い兎が海の水に入ったら、
「痛てててて…」
って、塩水がしみて、ビリビリ、ビリビリ、ってもっともっと痛くなったと。
こらえ切れずにギャン ギャン泣いていたら、袋を担いた神様が通りかかったと。
その神様は親切で、
「お前、ほだらことしてもだめだ。きれいな真水(まみず)で洗って、して、蒲(がま)の穂(ほ)さ転がれ、んだどええから」
って、教えてくれたと。
白い兎がその通りにしたら、やっと元の白い兎になったと。
どんぴんからりん、すっからりん。
サメ怖い( 10代 / 女性 )
因幡と言ったら鳥取県なのでこの地方の昔話ではないでしょうか どうして山形県のお話になってしまうのでしょうか?( 70代 / 女性 )
因幡のしろウサギの話は因幡地方(今の鳥取県中部)のお話しです。優しい神様は大国主命です。神話で有名なお話ですからどこの地方かはしっかりと間違えないでください。( 70代 / 男性 )
因幡の白兎は秋田ではなく、鳥取のお話ではないのでしょうか( 30代 / 女性 )
因幡の白兎は、嘘をついてしまい怪我をして、意地悪な神様に嘘をつかれたけど、優しい神様が助けてくれたのがよかったなぁ~と思いました。
あったてんがの。 昔あるところに、彦一という男があったと。頓知(とんち)のきいた面白い男だったと。 彦一の裏山(うらやま)に狸(たぬき)が一匹住んでいて、それがまた、人をたぶらかしたりするのが大好きなやつだったと。
ある夏の夜のこと、十人近い子どもたちが肝だめしをやろうと大きなお寺の前に集った。 「なんだかお化けが出そうだなぁー」 「平気、平気、お化けなんか出るわけないよ」 「でも、やっぱり、こわいなぁー」子どもたちは、わいわいがやがやさわいでいた。
「因幡の白兎」のみんなの声
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