分からんだろ????( 10代 / 女性 )
― 長野県 ―
語り 井上 瑤
再話 六渡 邦昭
むかし、あるところに双子の兄と弟がいてあったと。別のところに、これまた双子の姉と妹がいてあったと。縁あって、二組一緒に祝言(しゅうげん)をあげ、ひとつ長屋の隣り合わせに所帯(しょたい)を持ったと。
そしたら、兄の嫁と弟の嫁が、同じ月の同じ日に赤児(あかご)を産んだと。
百日たったので、兄の児も弟の児も一緒に大きなタライの中へ入れて、湯を浴(あ)びさせたと。
そうしたら、タライから出すときになって、あんまり似ているので、どれが兄の児やら、弟の児やら、わからなくなった。
兄の嫁が、
「こら、おらの児だ」
と言えば、弟の嫁が、
「いんにゃ、どうもおらの児みていだ」
と言う。
そのうち、兄と弟も混じって、あれだ、これだと言い始め、とうとうみんなこんがらかって、どれがどうやらさっぱりわからなくなったと。
そのさまを見ていた婆ぁさ、ほとほとあきれて、
「おまえた、そんつらこと言い合ってもきりがねえさけ、大岡様(おおおかさま)に裁(さば)いてもらったらどうか」
と言うた。
そこで、兄の嫁と弟の嫁のふたりして、大岡様のところへ行ったと。
「大岡様、大岡様、おらたちふたりとも同じ月の同じ日に児を産んだだ。して、今日湯浴みさせるてんで、一緒にタライの中へ入れたら、あんまり似ているんで、どれが誰の児だやらわからなくなっただ。どうしればいい」
と言うたと。
さすがの大岡様も、「うーん」とうなったきり、返事が出来なかった。
「考えておくさけ、明日来い」
と言うたと。大岡様、
「こりゃ困ったわい。明日来いと言ったども、親がわからんものをわしがわかるはずがないわい。どうしりゃいい」
あれこれ思案したが、いい知恵が浮かばない。考え考え歩いていたら、神社の境内(けいだい)にいたと。ふと見ると、向こうで子守りが何人かいて、子供が遊んでいた。こんまい子らは子守りと一緒にいることをいやがって、勝手によちよち歩きまわっている。
大岡様はそれを見て、子守りのところへ行った。そして子守りに、
「おまえた、あのこんまい子らをこうして遊ばしておいて、家へ帰るとき、間違わぬようにどうやって連れて行く」
ときいた。そしたら子守りは、
「そんつらことわけねえ。おらが『はあ、こい』と言えば、おらとこの子がおらとこへとんでくる。なあ、みんな」
「そだや」
「んだ。帰るときゃ、いつも『はあ、こい』とそう言うだ」
と、口々に言うた。
大岡様は、それを聞いて感心したと。
次の日、兄の嫁と弟の嫁に、
「ふたりして『はあ、こい』と言ってみろ。そうすれば、姉の子は姉んとこへ行くし、妹の子は妹んとこへ行く」
と、そう言うたと。
それっきり。
分からんだろ????( 10代 / 女性 )
えっ?その解決方法で大丈夫?( 50代 / 女性 )
これは、結果が分かるまでに何年かかるのだかw( 10代 / 女性 )
むかし、ありましたそうや。今の和歌山県紀の川市に、昔は那賀郡田中村というた所がありましてのう、そこに、赤尾長者(あかおちょうじゃ)と呼ばれる長者がありましたそうや。子供がないのを悲しんでおったが、ようやく赤ちゃんが生まれた。
「児裁判」のみんなの声
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