寝る前に読み聞かせしてもらいました。三郎の指を投げて見せられたあたりが、特に怖かったです。( 20代 / 男性 )
― 広島県 ―
語り 井上 瑤
再話 大島 廣志
むかし、むかし。おっ母(か)さんと、太郎(たろう)と次郎(じろう)と三郎(さぶろう)の三人の子どもがくらしておった。
あるとき、おっ母さんが山へたきぎをとりに行くと、山んばが出てきて、あっという間におっ母さんを食うてしもうた。山んばはおっ母さんに化けると、子どもたちの家へ行ったそうな。
「子どもたちや、おっ母さんだよ、戸をあけておくれ」
すると、兄の太郎が、
「おっ母さんの声とちがう。戸のすきまから手を出して見せてくれ」
というて、手を見ると、毛が生えていて、ガサガサしておった。
「おっ母さんの手にはこんな毛なんか生えておらん」
太郎は戸をあけんかった。
山んばは、すぐにヤマイモの葉をとってきて、手にまきつけた。そして、やさしい声で、
「子どもたちや、おっ母さんだよ、戸をあけておくれ」
といいながら、戸のすきまから手をさしだした。今度は次郎が見ると、すべすべしたきれいな手だったので、戸をあけたそうな。
その夜、おっ母さんは三郎と一緒(いっしょ)にねることになった。そうしたら、ムシャムシャムシャムシャ、音がする。
「おっ母さん、何を食べてんのや」
太郎と次郎が聞くと、おっ母さんは、
「これじゃ」
というて、食べているものを、ポーンと投げてよこした。よく見ると、それは三郎の指だった。太郎と次郎は、“あれは、おっ母さんじゃない。山んばだ”て、家からにげ出した。そして、うらの大きな木にナタできずをつけつけ、のぼって行った。
なんぼたっても二人はもどってこん。おっ母さんに化けた山んばが、二人をさがすと、うらの大きな木の上に二人がいる。
「どうやってのぼったんじゃ」
ときくと、太郎は、
「手と足に油をぬってのぼった」
とこたえた。山んばは手と足に油をべっとりぬりつけ、木にのぼったが、すべってすべって、ちっとものぼれん。
それで、
「本当のこと言わんと食い殺すぞー」
とさけんだ。次郎はこわくなって、
「ナタできずをつけつけのぼった」
と、本当のことを教えてしもうた。山んばはその通りにして、木にのぼってきた。二人はどうしようもなくなって、
「天道さま、天道さま、どうか助けてくだされ」
とおいのりをした。そうしたら、天から金の鎖(くさり)がおりてきたので、二人はそれにつかまって天へのぼっていった。山んばも二人に追いつこうとして、おいのりをした。
すると、天から、くさった綱がおりてきて、飛びつくと、プツンと切れてしまい、空から落ちて死んでしまった。
天にのぼった太郎と次郎は、お星さまになったそうな。
なんのむかしもけっちりこ。
寝る前に読み聞かせしてもらいました。三郎の指を投げて見せられたあたりが、特に怖かったです。( 20代 / 男性 )
この話悲鳴をあげてしまうほど、怖かった。太郎と次郎は星になったけど、お母さんと三郎は食べられてかわいそう。( 10歳未満 / 男性 )
三郎の指を食べていたやまんばとてもこわいです
信じられないようなびっくりする話だった。寝ながら聞いていてふるえあがった。( 10歳未満 / 男性 )
こわっっ!昔話って結構残酷なのがちょいちょいありますよね…。 ラジオで同じ話が流れていましたが、こちらのサイトの方が原作でしょうか?大まかな内容は一緒ですが、ラジオの方はだいぶマイルドになっていました。 最後、兄弟達は死んでしまったのでしょうか…?( 20代 / 女性 )
昔、豊後(ぶんご)の国、今の臼杵市野津町大字野津市(うすきしのつまちおおあざのついち)というところに、吉四六(きっちょむ)さんという面白い男がおった。
「天道さんの金の鎖」のみんなの声
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