― 広島県 ―
語り 井上 瑤
再話 垣内 稔
整理・加筆 六渡 邦昭
むかし、むかしあったげな。
ある旅の商人(あきんど)が大けな荷物を肩(かた)にかついで、丸太の一本橋の上を渡(わた)ろうと思いよったら、向こうからもひとりのお侍(さむらい)が渡りょったげな。
旅の商人は、
「どうしたもんかいのう。ふたりは渡らりゃせんけぇ、待っとらんにゃいけんが」
と思うて、待っちょったげな。
ほしたら、橋ぅ渡りょったお侍が、ふらふらっとゆれて、ぶらんと橋の下へぶらさがったげな。
旅の商人は、たまげてそばへかけよると、落ちそうになっとるお侍の手をしっかりつかまえちゃったんじゃげな。
橋の下は、そりゃものすごい崖(がけ)っぷちじゃたげなで。
その次を話そうか、話すまいか。
ン、話せてか。そうか、はなしていいんじゃな。ンでは。
旅の商人は、ぎゅっとにぎっとった手をはなしたもんじけぇ、お侍はどぷんと崖っぷちへ落ちて、死んだげ な。
それでしまいよう。
なんまんだぶ なんまんだぶ。
民話の部屋ではみなさんのご感想をお待ちしております。
「感想を投稿する!」ボタンをクリックして
さっそく投稿してみましょう!
むかし、あるところに欲深でそのうえ嫉妬(しっと)深い婆さんがおったと。村の人達はみんな仏さんを拝(おが)んでいたが、この婆さんだけは信心(しんじん)のしの字もなかったと。
むかし、むかし、あるところに、正直で働き者の若い衆(し)があった。 ある日、背負籠(しょいこ)を背負(しょ)って、畑への道を登っていったら、天狗岩(てんぐいわ)の下に、天狗の鼻(はな)みたいのが落ちてあった。
むかし、佐渡が島に艪かい舟が通っていたころの話。舟の乗客たちが、上方詣での出来事を楽しそうに話しておったと。そしたら、舟の間近に大っきなタコが潜んどって、「ああ、おらもたった一遍でいいから、人間のように上方詣でというものをしてみたい」とつぶやいたと。
「話そうか話すまいか」のみんなの声
〜あなたの感想をお寄せください〜