民話の部屋 民話の部屋
  1. 民話の部屋
  2. 言葉の聞き違い・言葉遊びにまつわる昔話
  3. 話そうか話すまいか

※再生ボタンを押してから開始まで時間がかかる場合があります。

はなそうかはなすまいか
『話そうか話すまいか』

― 広島県 ―
語り 井上 瑤
再話 垣内 稔
整理・加筆 六渡 邦昭

 むかし、むかしあったげな。
 ある旅の商人(あきんど)が大けな荷物を肩(かた)にかついで、丸太の一本橋の上を渡(わた)ろうと思いよったら、向こうからもひとりのお侍(さむらい)が渡りょったげな。
 旅の商人は、
 「どうしたもんかいのう。ふたりは渡らりゃせんけぇ、待っとらんにゃいけんが」
と思うて、待っちょったげな。
 ほしたら、橋ぅ渡りょったお侍が、ふらふらっとゆれて、ぶらんと橋の下へぶらさがったげな。
 旅の商人は、たまげてそばへかけよると、落ちそうになっとるお侍の手をしっかりつかまえちゃったんじゃげな。
 橋の下は、そりゃものすごい崖(がけ)っぷちじゃたげなで。

 
 その次を話そうか、話すまいか。
 ン、話せてか。そうか、はなしていいんじゃな。ンでは。
 
 旅の商人は、ぎゅっとにぎっとった手をはなしたもんじけぇ、お侍はどぷんと崖っぷちへ落ちて、死んだげ な。
 
 それでしまいよう。
 なんまんだぶ なんまんだぶ。

「話そうか話すまいか」のみんなの声

〜あなたの感想をお寄せください〜

一番に感想を投稿してみませんか?

民話の部屋ではみなさんのご感想をお待ちしております。

「感想を投稿する!」ボタンをクリックして

さっそく投稿してみましょう!

こんなおはなしも聴いてみませんか?

福は内 鬼は外(ふくはうち おにはそと)

 とんと昔の話じゃったそうな。  あるところに女の子が出来た。名前をお福(ふく)とつけた。村中(むらじゅう)でも誰(だれ)にも負けない器量好(きりょうよ)しだったと。

この昔話を聴く

婆コロリン(ばあころりん)

 むかし、あるところに正直な婆(ばあ)さんがおったと。  あるとき、婆さんは団子(だんご)をこしらえて、親類(しんるい)の家へ持っていった。そしたら途中で石につまづいて転んでしもうた。

この昔話を聴く

お正月様がやって来ん(おしょうがつさまがやってこん)

あんたさん、知っとられますか。昔は太陰太陽暦(たいいんたいようれき)っちゅうのを使っておりましてのう、つまり旧暦(きゅうれき)ですかのう。明治五年十…

この昔話を聴く

現在886話掲載中!