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とりのせんそう
『鳥の戦争』

― 福島県 ―
語り 平辻 朝子
再話 井出 善勝
整理・加筆 六渡 邦昭

 むかし、むかしの大昔(おおむかし)。
 あるときな、鳥たちが東と西に分かれて戦争(せんそう)をすることになったんだと。
 そこで、東の鳥たちは蝙蝠(こうもり)に加勢(かせい)を頼(たの)みに行ったんだと。
 「お前さん、わしらの仲間(なかま)に入って、西の鳥どもをやっつけてくんねぇか」
 そしたら蝙蝠は、
 「ああ、いいとも、いいとも。西の鳥どもをやっつけてやる」
と、約束したんだと。
 一方、西の鳥たちも蝙蝠に頼みに行った。
 「お前さん、わしらの仲間に入って、東の鳥どもをやっつけてくんねぇか」
 そしたら、また、蝙蝠は、
 「ああ、いいとも、いいとも。東の鳥どもをやっつけてやる」
と、こっちにも約束したんだと。

 
 さぁ、戦争が始まった。
 東の鳥も、西の鳥も、
 「やつらを、全部やっつけろぉ」
と、叫(さか)びながら、必死に戦(たたか)ったと。

 ところが、蝙蝠は、東の鳥たちがの方がかちそうになると東方(ひがしがた)に加勢し、西の鳥たちの方が勝ちそうになると西方(にしがた)に加勢し、あっちについたり、こっちについたりしておったと。

 そうこうするうちに、東の鳥も、西の鳥もどんどん傷(きず)ついて、数がすくなくなっていったと。
 鳥たちは、せつなくなってしもうた。それで、
 「こんな戦争しとったら、仲間がいなくなってしまう。このへんで仲直りしようやないか」
と、話がまとまったそうな。
 それからというもの、鳥たちは仲よく暮(く)らすようになった。


 しかし、どうにも我慢(がまん)出来ないのは蝙蝠のやつだ。
 「あいつは、東についたり、西についたり、あっちつき、こっちつき、ふてえやつだ」
と、いうて、蝙蝠を見かけると鳥たちはみんなで追いかけまわすようになった。
 それで、蝙蝠ちゅうのは昼間穴倉(あなぐら)に隠(かく)れていて、鳥たちが塒(ねぐら)に帰る夕方だけ穴倉から出て、エサを探すようになったんだと。
 ざっと さけぇ申した。

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