民話の部屋 民話の部屋
  1. 民話の部屋
  2. 動物や植物の嫁にまつわる昔話
  3. カラス女房

※再生ボタンを押してから開始まで時間がかかる場合があります。

からすにょうぼう
『カラス女房』

― 青森県 ―
再話 六渡 邦昭
語り 井上 瑤

 むかし、茶売りの兄様(あんさま)があったと。
 兄様は、女房(にょうぼう)をもらうなら飯(まま)を食わない女が欲しいと探していたと。
 ある晩、兄様のもとへ一人の姉様(あねさま)がたずねてきて
 「おれぁ飯(まま)食わねから、お前(め)ぇ様の嬶(かか)ァにしてけれ」
というた。

 
カラス女房挿絵:福本隆男

 兄様が見ると、色は少し黒いが働き者だというし、飯も食わないというので、気に入って、その姉様を嫁(よめ)にしたと。


 次の日から茶売りの兄様は、姉様に留守(るす)させて商(あきな)いに出かけて行ったと。
 兄様が出かけると、きまって、カラスが飛んできて、屋根(やね)にとまってガアガア啼(な)いたと。
 夕方になって茶売りが帰ってくると、姉様はちゃんと夕飯の支度(したく)をして待っていた。そして兄様が食べるのをニコニコして見ているだけで、一箸(ひとはし)も食べなかったと。


 ある日、兄様が商いに出かけようとしたら、物陰(ものかげ)から隣(となり)の母様(おがさま)が兄様を呼びとめた。
 「兄、兄、お前(めえ)の姉様な、あれぁカラスだ。うそでねぇ。うそだと思うたら、隠(かく)れて様子(ようす)見てみればええ」
 茶売りの兄様、半信半疑(はんしんはんぎ)で、次の朝仕事に行くふりして家を出て、隣の母様(おがさま)と二人で物陰に隠れたと。
 すると、たくさんのカラスが集まってきて、
  東五郎(とうごろう)や 東五郎や
  そばの川原(かわら)に
  馬一頭 死んでいる
  食いに 行こうじゃ
と、くちぐちに言うた。
 すると、兄様の家のなかから一羽のカラスが出てきて、仲間と一緒に飛んで行った。


 茶売りの兄様はびっくりして、その場にへたりこんだと。隣の母様、
 「見たか、見たか、やっぱりカラスだ」
 「あ、ああ、見た。けど、あれ、ほんとに、俺(お)ら家(え)の嬶(かか)ァだべか」
 「たしかめてみるか」
 「どうやってだ」
 「鳥というのは湯(ゆ)ぅさ入るのが嫌いなもんだ。湯ぅさ入れてみればいい」
というた。兄様が、
 「そういわれてみれば、嬶ァが湯ぅさ入ったとこ、一度も見たことが無(ね)えな」
というと、隣の母様、
 「色も小黒(こぐろ)いだべ」
というた。
 茶売りの兄様は家に戻ってすぐに風呂(ふろ)を沸(わ)かしたと。
 しばらくして姉様が家に戻ってきた。
 兄様、姉様が嫌(いや)がるのを、
 「入れじゃ、入れじゃ」
というて、無理矢理(むりやり)風呂へ入れたと。

 
カラス女房挿絵:福本隆男

 そしたら、姉様は、
 「熱(あち)い、アチ、アチイ」
というて、すぐにカラスになって、ガアガア飛んで行ったと。
 
 とっちぱれ。

「カラス女房」のみんなの声

〜あなたの感想をお寄せください〜

悲しい

なんで 女房になったのでしょう? 人間になりたかったとして、兄様はカラスではいけなかったのでしょうか?( 70代 / 女性 )

楽しい

とても賢い話ですね。

驚き

その後が気になります????( 40代 / 女性 )

こんなおはなしも聴いてみませんか?

縁起担ぎ(えんぎかつぎ)

むかし、あるところに大層縁起かつぎの長者がおったと。  ある年の正月、村の和尚さんが正月膳に招ばれて長者の家に行ったと。  たくさんのご馳走だ。和尚さんはおれも食べこれも食べして大いに満腹したと。

この昔話を聴く

節分の鬼と伝兵衛爺(せつぶんのおにとでんべえじい)

 むかし、あるところに伝兵衛(でんべえ)という爺(じい)がおった。酒とバクチとケンカが何より好きで、おまけに偏屈者(へんくつもん)であったと。  ある年の節分の晩(ばん)、  「よそと同じように豆まきしてもつまらん。おらとこはあべこべにやる」  「そうれ、福は外、鬼(おに)は内」 というて、豆まきしたと。

この昔話を聴く

たこの上方詣で(たこのかみがたもうで)

むかし、佐渡が島に艪かい舟が通っていたころの話。舟の乗客たちが、上方詣での出来事を楽しそうに話しておったと。そしたら、舟の間近に大っきなタコが潜んどって、「ああ、おらもたった一遍でいいから、人間のように上方詣でというものをしてみたい」とつぶやいたと。

この昔話を聴く

現在881話掲載中!