旅人が天の使いってことにびっくりした
― 秋田県 ―
語り 井上 瑤
再話 今村 泰子
整理 六渡 邦昭
昔、昔。
ある家さ一人の婆(ばあ)さん住んでいたど。
ある日、婆さん餅(もち)焼(や)いていたけ、トントン戸を叩(たた)ぐ音して、旅人、
「すまねども、ちょっと休ませて呉(け)ねしか」
と、言ったども。
挿絵:福本隆男
婆さん、知らね振(ふ)りして居たども、めんどうくせ声で、
「今、忙(いそが)しくて手離(はな)せねがら、自分で開けて入って呉(け)」
と、叫んだど。
婆さん、入って来た人の顔も見ねで、一生懸命(いっしょうけんめい)餅焼きしてたけ、旅人、腹(はら)空(す)いていたので、
「なんとうまそうだ匂(かおり)する事(ごと)。おれさも一つ呉(け)てたんえ」
と言ったど。婆さん、「やんだ」ともいわれねがら、一番小っちゃいのやろうど思って、また、餅焼いだども、段々(だんだん)焼けてくると呉(け)るのがいやになって、一つも呉(け)ねがったど。
旅人、急にこわい顔になって、
「お前(め)、なんとけちん坊(ぼう)だごと。人さ親切も出来ね者は、人間にしておかれね。鳥になって、自分の食い物は自分で探(さが)せ」
挿絵:福本隆男
って、言ったば、その言葉終わらねうちに、婆さん、きつつきになってしまったど。
この旅人は、天(てん)の使いであったなだど。
とっぴんぱらりのぷう。
旅人が天の使いってことにびっくりした
明治から大正の頃のようじゃが、池の集落に、宮地というお爺が居って、いってつ者であったと。 楽しみといえば、中央の池に出て、鯉や鮒、鰻などを釣ってきて、家の前の堀池で飼い、煮たり焼いたり酢にもして晩酌の肴にしていたそうな。
むかし、あるところに貧乏(びんぼう)な爺(じ)さまと婆(ば)さまがおったと。 あるとき、二人が畑で働いていると、空にきれいな虹(にじ)が出た。 「婆さま、あれ見ろや、きれぇな虹だ」 「ほだな、きれぇな虹だなや」 爺さまは、ふと思い出して…
「きつつき」のみんなの声
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