民話の部屋 民話の部屋
  1. 民話の部屋
  2. 動物や植物の嫁にまつわる昔話
  3. 蛙嫁

※再生ボタンを押してから開始まで時間がかかる場合があります。

かえるよめ
『蛙嫁』

― 秋田県 ―
語り 井上 瑤
採集・再話 今村義孝 / 今村泰子

 むかし、あったわけだ。
 夫(とと)と嬶(かか)と二人仲好(なかよ)く暮(く)らしてあったとな。楽な暮らしであったども、嬶病気になって死んだしまったと。

 それからていうもの、二人して稼(かせ)ぐ人を見れば、羨(うら)やましくて、羨やましくて、嬶欲しとてさがしてみるども、なかなか見つからねわけだ。
 ある細雨(ほそあめ)の降る日、蛙、ギャ、ギャ、ギャて雨呼(あまよ)ばりして鳴(な)いていたとな。

蛙嫁挿絵:福本隆男

 「うん、うん、蛙でも夫婦(ふうふ)して、面白くて、ああしてさえずるべな。おれも蛙の嬶でもいいべどもなぁ」
て、つぶやいたわけだ。晩方(ばんがた)なったきゃ、
 「御免(ごめん)ください」
て、つづれこ着た、しまの風呂敷(ふろしき)背負(しょ)った女、訪ねてきたと。


 「嬶いねぇ話聞いて、嬶にしてもらいたくて来た」
て、云(い)ったと。そこで夫、大した喜(よろこ)んで、
 「これから楽寝(らくね)させるから、いてけれ」
て、おくことにしたと。

 夫、嬶を大事に大事にして暮らし暮らししているうち、ある日、
 「夫、夫、おれ実家から法事(ほうじ)のお使い来たで、一度行って来るでぁ」
て、云うわけだ。
 「おうおう、そんだか。行って来い。何か持って行かねたっていいか」
 「なにもいらね、なにもいらね。一人身で行くから」
とて、持ってきた時の、しまの風呂敷背負って行くわけだ。


 夫、不思議(ふしぎ)だと思って、ずっとずっと田の畔(くろ)つけて、ばらの棘株(とげかぶ)のかげさ行って見てたと。
 したきゃ、堤(つつみ)の上に行ったと思ったば、川の中さドブンと入ったとたんに、今度、ギャロ、ギャロて集(あつま)って鳴くわけだ。

 「さては蛙であったか」
と、思って見てたけ、今度ぁ集ったも集った、川一杯集ってきて大きい蛙先になってギャロ、ギャロと廻(まわ)って歩くわけだ。
 夫、そのあたりの一番大き石拾って、一番大き蛙めがけてドンとぶっつけたば、鳴き声止まってしまって、なんぼ待っても聞(きけ)ぇなくなってしまったと。


 次の日、
 「あい、やや、今来た。夫、大した騒動(そうどう)であったや」
て云うので、
 「なしてや」
 「まぁ、まぁ、和尚さん来て、おつとめあげて、陀仏(だぶ)あげていたきゃ、どこかの乱暴人(らんぼうにん)きて、和尚さん頭さ石ぶっつけて、大怪我(おおけが)させてしまった」
て云ったと。
 それ、蛙の化物であったと。
 とっぴん ぱらりのぷ。

「蛙嫁」のみんなの声

〜あなたの感想をお寄せください〜

一番に感想を投稿してみませんか?

民話の部屋ではみなさんのご感想をお待ちしております。

「感想を投稿する!」ボタンをクリックして

さっそく投稿してみましょう!

こんなおはなしも聴いてみませんか?

ハチとサルとカメ(はちとさるとかめ)

むかし。ある若者が旅に出た。そして道を歩いていたら、子供がハチに紐(ひも)をつけて遊んでいる。若者はかわいそうに思うて、「銭(ぜに)をやるから、そのハチをわしにくれんか」と言うて、ハチを助けてやった。

この昔話を聴く

爺様と婆様の話(じさまとばさまのはなし)

昔、あったず。ある所ね、爺様と婆様あったず。その家の裏に大き木ぃあったず。あるとき、又八ず人ぁ来て、「家の裏にある、けやき売れ」たへで、婆様、「良え」て、売るごどねしたず。

この昔話を聴く

吉四六さんの柿 二題(きっちょむさんのかき にだい)

むかし、吉四六さんが裏の柿の下で薪割りをするためにマサカリを振り上げたら、枝の熟柿が頭に落ちてきたと。てっきりまさかりの刃が抜けて頭に落ちてきたと思うたもんじゃき、「うわぁ、大変じゃ。誰か来ちくりィ。ああ痛え、早う医者を呼んでくりい」と、大騒ぎだと。

この昔話を聴く

現在881話掲載中!