民話の部屋 民話の部屋
  1. 民話の部屋
  2. 特異な能力にまつわる昔話
  3. 小佐次

※再生ボタンを押してから開始まで時間がかかる場合があります。

こさじ
『小佐次』

― 秋田県 ―
語り 井上 瑤
再話 今村 義孝

 昔、あったずもな。
 ある村さ歌よむ若(わげ)ぇ者(もん)いで、小佐次(こさじ)と言ったど。
 そこの村の庄屋(しょうや)の一人娘、病気になって、なんぼ医者さかげても良くならねぇで、とうとう息ひきとってしまったど。
 「あや、しかだねぇ。なんとしたばええべか。たれか生き返らせてくれだば、なんたぼうびも何でも呉(く)れるんて」
ど、庄屋の父(とう)さん、家の中さわいで歩いだど。医者も鍼師(はりし)も来たども、なんともならべがったど。


 そごさ、小佐次来たわけだ。して、
 「娘、からだ悪い風(ふ)だどもどんなあんべだか」
 「今、亡くなったどこだ」
 「んだか、おらにひとつ歌よませで呉(け)れな」
ど言ったば、もう誰さ頼んでも駄目(だめ)であった時なんで、庄屋の父さん、
 「いがべ、いがべ、やってみてけれ」
ど、頼んだど。
 
小佐次挿絵:福本隆男


 小佐次、奥の娘寝せである座敷(ざしき)さ行って見たば、きれいだきれいだ布団(ふとん)着て、めんけぇ顔コして、眠ったように死んでだど。したば小佐次、
 
 〽天上の 天の河原に 水まして
 〽こさじと言って かえる我が君
 
ど、三べん詠(よ)んだば、娘、眼(まなぐ)しずかにあげて、
 「あぁ、寝だったなぁ、寝だったなぁ」
ど、布団の上さ起きあがったど。
 庄屋喜んで、
 「どうか娘の聟(むこ)さ、なってけれ」
ど願って、小佐次、娘の聟さ貰(もら)ったど。
これきって、とっぴんぱらりのぷう。

「小佐次」のみんなの声

〜あなたの感想をお寄せください〜

驚き

小佐次すごい僕のおばあちゃんも生き帰らせて欲しい ( 10歳未満 / 男性 )

こんなおはなしも聴いてみませんか?

宝の小槌(たからのこづち)

 むかし、あるところに貧乏(びんぼう)な爺(じ)さまと婆(ば)さまがおったと。  あるとき、二人が畑で働いていると、空にきれいな虹(にじ)が出た。  「婆さま、あれ見ろや、きれぇな虹だ」  「ほだな、きれぇな虹だなや」  爺さまは、ふと思い出して…

この昔話を聴く

正直爺と仔犬(しょうじきじいとこいぬ)

 むかしあったげな。  正直爺(しょうじきじい)と欲深爺(よくぶかじい)とがあったげな。  あるとき、正直爺が山でタキギを拾うていたら、

この昔話を聴く

五月節句の笹巻き飯(ごがつせっくのささまきまんま)

とんと昔、あるところにオドとカカがおったと。初児(はつご)子のお産が始まって、カカがウンウン唸(うな)っているそばで、オドは気ぃもめて気ぃもめてなら…

この昔話を聴く

現在886話掲載中!