餅が好きなのに餅つきとお金が嫌いなのと嫌なことされても家にいるから貧乏なのかな( 30代 / 男性 )
― 秋田県 ―
語り 井上 瑤
再話 今村 泰子
整理・加筆 六渡 邦昭
むかしあったと。
ある家の父、毎日働かなねであったと。
毎日毎日、火ノンノンとたいて、こっちの肋(あばら)あぶれば、また、こっちの肋あぶる。今度ァ背中あぶるって、そやってばしいであったと。
ある時、
「貧乏の神、貧乏の神、火ィあたりに来いでぁ」
と言ったと。
したきゃ、庭の隅(すみ)からガタガタガタガタって出はってきたとこ見たきゃ、おっそれおっかねよなのがボロ着て、ジャンと座(すわ)ったと。
挿絵:福本隆男
「貧乏の神、貧乏の神、お前えなに好きだ」
て聞いたきゃ
「おれ、糠(ぬか)の煮付餅(につけもち)一番好きだ」
て言ったと。
「嫌いなものはなんだ」
「嫌いなものは銭コ勘定(かんじょう)することと、米搗(こめつ)く奴、一番好きじゃねえ」
て、いうわけだ。
「よし」
て、いって、どこでどう工面(くめん)したもんだが、銭コ叺(かます)さ一杯持ってきて、
「一文、二文、三文、四文、五文 ……」
て、毎日勘定するわけだ。して今度ぁ、本家さ言って、
「米搗く奴あったら、おれどこで搗かせでけれ」
て、いって、あづかってきて、ねじりハチマキして、ウン、うん、ウンていって唐臼(からうす)さ入れて搗くわけだ。
夜間(よま)になって、庭の隅からガタガタ、ガタガタって貧乏の神出はってきたと。
「なんと、おれ好きでねぇ。銭勘定好きでねえって言えば、毎日毎日、一文、二文、三文、四文て銭勘定するし、米搗く音嫌いだといえば、毎日毎日、ドンドンドンて米搗くし、頭さあがってきた。お前ぇの家にだばおられねえ」
「そんなこと言わねで、どうかいてくなんせ」
「いや、おら行く。隣の福の神、お前どさ、ぶっつけてける」
て、言って、出て行ってしまったと。
この人、それから毎日、火さもあたらねえで働いたら、金持ちになってしまったと。
とっぴん ぱらりの ぷう。
餅が好きなのに餅つきとお金が嫌いなのと嫌なことされても家にいるから貧乏なのかな( 30代 / 男性 )
とんと昔あったげな。 ある夏の日、海端(うみばた)でたこさんが海からはい上がって昼寝(ひるね)をしておったら、そこへ猿(さる)さんが出て来て、おいしそうなから思って、たこさんの足を一本食べてしまったと。
昔、あるところに、貧乏な爺さと婆さがおったと。年の暮れになれば、年とり米も年とり魚もかわねばならんので、爺さは毎年山へ行っては門松(かどまつ)を取って来て、それを町へ持って行って、売り歩いておったと。
「貧乏の神」のみんなの声
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