面白い。 そもそも柿の木が頭に生えてくるなんて衝撃。 おかしな話。( 10歳未満 / 男性 )
― 秋田県 ―
語り 井上 瑤
再話 六渡 邦昭
昔、あるところに貧乏な爺さがおったと。
ある時、爺さが山へ木の実をさがしにいったと。
そしたら、熟(う)れた柿の実ひとつ、ボタリと爺さの頭に落っこちたと。
挿絵:福本隆男
爺さは、谷川で頭を洗ったけど、柿の種がひとつ髪毛の間に残ったと。
その柿の種が段々大きくなって、八年経(た)ったら実がなったと。
ざらんざらん、枝もたわわに実ったと。
爺さが、ひとつもいでみたら甘柿だ。
爺さは喜こんで、毎日、毎日、柿をもいでは、
「柿のもぎたて、柿のもぎたてはいらんかあ」
と、売りに歩いたと。
爺さの柿はうまい、という評判がたって売れるの売れないの、大したもんだった。
とうとう、他の柿売り達が爺さの事をやっかんで、爺さの寝ている間に柿の木を伐ってしまった。
爺さは、三年ばかり泣いて暮らしたと。
その内、柿の木の根っ子が腐(くさ)ってきて、舞茸(まいたけ)がはえる、しい茸がはえる、所(ところ)せましとはえてくるんだと。
あんまりいっぱいはえたもんだから、爺さは、
「きのこのとりたて、きのこのとりたてはいらんかなあ」
と売って歩いたと。
これまた、売れるの売れないの、大したもんだった。
とうとう、他のきのこ売りが爺さのこと憎んで、爺さが寝ている間に、頭の根っ子を掘り起してしまった。
根っ子掘ったあとが大きな穴になったと。
爺さは、飯(めし)の種はなくなる、貯めた金はへって行く、困っておった。
そしたらある日、大雨が降って、頭の穴に水がたまって池になったと。
そこへ、どこからくるのか、マスが来る、鮭がくる、うなぎが来る、水がチャプチャプ波打つ程わいて来るんだと。
爺さは、毎日、毎日、魚をとっては売り、とっては売りして、大した金儲け。
あとあと安楽に暮らしたと。
とっぴんからりんのぷう。
面白い。 そもそも柿の木が頭に生えてくるなんて衝撃。 おかしな話。( 10歳未満 / 男性 )
主人公が酒飲みじゃないバージョンも有るのか( 40代 / 男性 )
私の知っている話だと、この後 漁師と魚屋に埋め立てられて、毎年おコメのとれる田圃になりました(笑)どんな人(達)が、どんな時に作ったのか?頓知のきいたお話には、感心させられます。今は、色んな知識が先行きし過ぎて、夢のある民話が生まれづらい時代になってしまったのかもしれませんね…。( 30代 / 男性 )
むかし、むかし。 あるところに家があって、ネズミが巣を作って暮(く)らしていたと。 ある冬の日、一匹のネズミが縁の下を駈(か)けまわっていたら、突然足元の土が崩(くず)れて、つんのめって穴に落ちたと。
昔、あるところにひとりの兄さまがあったと。 ある晩げ、天井から一匹の蜘蛛がおりてきた。 夜、蜘蛛が家に入ってくるのは縁起が悪いといわれているので、兄さまは、 「クモ、クモ、今晩何しておりてきた」 といって、蜘蛛を囲炉裏の火にくべようとした。そしたら蜘蛛が、 「兄さま、どうか助けで呉」 というた。
むかしは染物(そめもの)をする店を普通(ふつう)は紺屋(こうや)と呼んだがの、このあたりでは紺屋(くや)と呼んどった。紺屋どんは遠い四国の徳(とく)島からくる藍玉(あいだま)で染物をするのですがの、そのやり方は、藍甕(がめ)に木綿(もめん)のかせ糸を漬(つ)けては引きあげ、キューとしぼってはバタバタとほぐしてやる。
「頭の池」のみんなの声
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