乞食最低だ、、、
― 栃木県芳賀郡 ―
語り 井上 瑤
再話 六渡 邦昭
昔、あるところに爺(じい)さんと婆(ばあ)さんが暮らしておったそうな。婆さんは耳が遠かったと。
二人はよく働いてつつましく暮らしたのでだんだん金が貯(たま)ったと。
爺さんは毎晩寝(ね)る前に銭勘定(ぜにかんじょう)するのを楽しみにしておったと。
爺さんがいつものように銭勘定をしていると、婆さんが、
「爺さんや、そんなに金を貯めてどうするつもりだ」
と聞いた。爺さんはその場しのぎに、
「うんと貯めて、天子様(てんしさま)にあげるのじゃよ」
というた。
「そうかえ、天子様なら日本の国を治(おさ)めている方だから、そりゃよかろう」
婆さんはにこにこして賛成したと。
ある日のこと、婆さんが一人で留守番(るすばん)をしていると、乞食(こじき)がやって来た。
「何か食べる物をおくれな」
婆さんは耳が遠いので聞き違(ちが)えて、
「何、銭くれろって、銭は天子様にあげるのじゃから、お前なんかにはやれんよ」
というと、乞食は、
「わしは天子様だ。今日はおしのびで銭をもらいに来た」
というた。
婆さんは本気にして、ありったけの銭を乞食にやってしまったと。
お昼時になって爺さんが帰って来た。婆さんは、
「今日は天子様が来たから、残らず銭をあげた」
と、にこにこしていうたと。
「天子様が来るはずはないんじゃがなあ」
爺さんは、その時の様子をよくよく聞いたと。そしたら、何のことはない、乞食にだまされたと分かって、「あちゃあ」となげいたと。
一文無しになった爺さんは、どこか他所(よそ)の国へ行って働こうと旅に出ることにしたと。
爺さんが荷物を背負(せお)い、婆さんには大戸(おおど)を一枚背負わせて、いくがいくがいくと、日が暮れたと。
ふたりは鎮守(ちんじゅ)の森へ行って、境内(けいだい)の杉の木の下で休んでいると、誰(だ)れやらがドガドガとやってくる音がした。急いで杉の木に登って隠れたと。
やって来たのは強盗(ごうとう)たちで、その木の下で車座(くるまざ)になって、盗んで来た銭勘定をはじめたと。
木の上では婆さんが、
「爺さんや、背中の大戸が重うてならん」
とぶつぶついうたら、爺さんは、
「しいっ、強盗どもに見つかったら大事(おおごと)だから黙っていろ」
というた。そしたら、婆さんは、大戸を下ろせと、聞きちがえて、
「おお、よかった」
いうて、大戸を落としたと。
大戸は、ドン、バサンと大きな音をたてて強盗の頭の上に落ちたと。
さあ、驚(おどろ)いたのは強盗たちだ。
「それ、天狗様(てんぐさま)が来たぁ」
いうて、一斉(いっせい)に逃げて行ってしまったと。
あとには銭がいっぱい置いてあった。
爺さんと婆さんは、みんな拾(ひろ)い集(あつ)めて、大金持ちになったと。
ふたりは村に帰って、一生安楽に暮らしたと。
おしまい。
乞食最低だ、、、
乞食に騙されてしまったけど、最後、大金持ちになれて、良かったねと思った!!( 10歳未満 / 女性 )
とんとむかし、たいそう男の子が好きな夫婦がおったそうな。暇(ひま)さえあったら生まれてくる子供の名前を考えておったと。 さて一人目の子供、これが男だったので、あんまり嬉(うれ)しゅうて、つい、“うれしい”という名前をつけた。 そうして二、三年たって、また男の子が生まれた。 さっそく親戚(しんせき)をあつめて、喜(よろこ)べ喜べ、のドンチャン騒(さわ)ぎ。
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「聞き違い 金は天子様」のみんなの声
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