民話の部屋 民話の部屋
  1. 民話の部屋
  2. 大きな話・法螺話にまつわる昔話
  3. 半ぴどんと外記どん

※再生ボタンを押してから開始まで時間がかかる場合があります。

はんぴどんとげきどん
『半ぴどんと外記どん』

― 宮崎県 ―
語り 井上 瑤
再話 六渡 邦昭

 昔、日向(ひゅうが)の国、今の宮崎県(みやざきけん)の跡江(あとえ)に半ぴどんというとんちものが居(お)ったと。ある日のこと、跡江の半ぴどんが
 「高岡(たかおか)には外記どんというほらふきが居るっちゅうなぁ。おれとどっちがほらがうまいか、いっぺん競(くら)べちみちくるるわい」
といって高岡の外記どんの家へほら競べに出かけたそうな。ついてみると、ちょうど家の中から小さな子どもが手に味噌漉し(みそこし)を持って飛び出て来て半ぴどんにぶち当(あ)たって転(ころ)がった。


 「イテテテテ、やい、そんなところにつったってちゃ危(あぶ)ねぇじゃねえかい」
 「ほい、こりゃおじさんが悪かった。すまんすまん。ケガはなかか」
 「なか。おっちゃん誰な」 
 「ああ。ぼんぼんのおとっつぁんにちょいとな」
 「あーん、あてちゃろか。おっちゃんもおとっちゃんと知恵競べじゃろ」
 「あ、まーそんなところじゃな。うぉほん。ところでぼんぼんは、そんなものを持ってどこへ行くとな。味噌をもらいに行くとか」
 「ちゃうわい。おとっちゃんが寝ちょるから、浜へ行ってこれでクジラでもとって食べてもらおうかと思ちょるとこじゃ」
 「ほー」

 
 半ぴどんはえらいかんしんしたそうな。
 「子供さえあんげなうまいほらをふきよる。この分だとおやじどんはどんなほらふきじゃろか」
 そう思うてだんだん不安になって来たと。それでもまぁ、会(お)うてみらにあわからんと、玄関(げんかん)へ入って行ったと。
 「外記どん居(お)りゃるのおー」
 「おー、居るぞ居るぞー」
 「あんたは具合(ぐあい)が悪うて寝ちょるとじゃねぇか」
 「何が、何が寝ちょるもんな」
 外記どんはそういうて、ゴソゴソ出て来たと。
 「おおー、もしや跡江の半ぴどんじゃねぇや」
 「そうじゃ」
 「おおー、やっぱり。そろそろ来るころじゃ思うちょった。まぁ、あがりなされ」 

 
 半ぴどんが座敷(ざしき)に上(あが)って、あいさつやら何やらかにやらすまして、いよいよほら競べが始まったと。
 「外記どん。あんた近ごろ毎晩青竹かかえて出かけるそうじゃが、いったいどこへ行くとな」
 「うん。おれはお月様をとりに行くとじゃが」
 「へぇー、青竹でかあ」
 「うん」
 「お月様がとれるかいよおー」
 「うん。いろいろ調べたら、霧島山(きりしまやま)に登って待っとって月が山の端(はた)にヘラッと出やったところを叩き落とすが、いっとうええちゅう事がわかった」
 「へぇー。えらい太か事をいいよったなぁ」
 「なんの。ところで半ぴどん、お前はこれからどこに行きなさるか」 
 「うん、おれはお前が落とす月の重さで、霧島山が倒(たお)れるといけんから、線香(せんこう)三本持ってつっぱりに行く」

 こいぎりの話。

「半ぴどんと外記どん」のみんなの声

〜あなたの感想をお寄せください〜

一番に感想を投稿してみませんか?

民話の部屋ではみなさんのご感想をお待ちしております。

「感想を投稿する!」ボタンをクリックして

さっそく投稿してみましょう!

こんなおはなしも聴いてみませんか?

タクシーに乗った女(たくしーにのったおんな)

これは、本当にあったお話。ある暑い夏の夜のこと、一台のタクシ―が、国立(こくりつ)中央病院の前で、若い女の客を乗せた。運転手が、「どちらまで行きます…

この昔話を聴く

犬の眼(いぬのめ)

昔、あるところに一人の男があった。男は眼(め)の病気になったと。痒(かゆ)くなり、痛(いた)くなり、かすんできて、だんだん見えなくなった。

この昔話を聴く

山姥報恩(やまんばほうおん)

昔、あるところに、ちゅうごく忠兵衛(ちゅうべえ)さんという人があった。なかなかの善人(ぜんにん)だったと。ある冬のこと。その日は朝から雪が降って、山も畑も道も家もまっ白の銀世界だと。寒うて寒うて、だあれも外に出ようとせんかったと。

この昔話を聴く

現在883話掲載中!