民話の部屋 民話の部屋
  1. 民話の部屋
  2. 大きな話・法螺話にまつわる昔話
  3. 牛と蛙

※再生ボタンを押してから開始まで時間がかかる場合があります。

うしとかえる
『牛と蛙』

― 山梨県 ―
語り 井上 瑤
再話 土橋 里木
整理・加筆 六渡 邦昭

 むかし、あるところに蛙(かえる)の親子が暮(く)らしておった。
 ある日、子蛙が川っ端(ぱた)へ遊びに行ったら、一匹(いっぴき)の牛が草を食(は)んでいるのに行き逢(あ)った。
 子蛙は生まれてから、まだ牛を見たことがなかったから、びっくりして、あわてて家に帰ったと。そして、
 「お母、お母、おらァ今、とてもでっかいもんに行き逢った」
と言って、親蛙にそのことを話した。
 
親蛙が、
 「そりゃ一体なんだぁ」
ときくと、子蛙は、
 「お母も識(し)らんのかぁ、なんだか知らんけんど、とてもでっかい物(もん)だぁ」
というた。親蛙は、


 「そんなでっかい物は、やたら世の中にあるもんじゃない。お母だって、かなりでっかい方だぞ。どうだ、それァ、この位もでっかかったか」
と言いながら、自分の腹(はら)をウンと膨(ふく)らませて見せた。

 それを見た子蛙は、
 「ウーン、まっと、まっとでっかかった」
と言った。親蛙は、
 「そんじゃ、この位か」
と言いながら、また、グーンと腹を膨らませた。
 子蛙は、
 「とてもとても、もっともっと、山のようにでっかいもんだった」
と言うた。
 
 親蛙はくやしくなったと。どうしてもそのでっかいもんに負けたくなくなった。
 「どうだ、この位か」
 「まっと、まっと」
 「そんなら、この位か」
 「いんや、まっと、まっと」
 「うーん、そんじゃ、この位か」 

 
 このくらいか、このくらいか、といいながらウンッと力んで腹を膨らませているうちに、とうとう、腹の皮がパチンと破裂(はれつ)してしもうたと。
 
 いっちんさけえ。

「牛と蛙」のみんなの声

〜あなたの感想をお寄せください〜

驚き

これってイソップ物語の話なのでは? 本当に民話なの?

怖い

膨らみすぎると破裂すること、牛のように大きくはなれないことを子蛙が知らなかったとしても結末が怖い。お腹いっぱいで破裂しそうと言った私に、おじいちゃんが教えてくれたのが「牛と蛙」。怖いって。( 10代 / 女性 )

悲しい

無理はしちゃいけないってことですね・・( 10歳未満 / 女性 )

もっと表示する
怖い

カエルには牛の大きさに追いつけるはずないですよ! カエルがみっともないだけですね( 10歳未満 / 女性 )

驚き

はれつしてびっくりした

悲しい

親のお腹が破裂して死んじゃうなんて悲しい。( 10歳未満 / 男性 )

こんなおはなしも聴いてみませんか?

首の取り替え(くびのとりかえ)

むかし、豊後(ぶんご)の国、今の大分県臼杵市野津町大字野津市というところに、吉四六(きっちょむ)さんという、とても面白い男がおった。

この昔話を聴く

姥っ皮(うばっかわ)

むかし、あるところに、大層気だての良い娘がおったそうな。娘の家は大変な分限者(ぶげんしゃ)での、娘は器量(きりょう)も良かったし、まるでお姫様のよう…

この昔話を聴く

大きな手(おおきなて)

 むかし、紀州(きしゅう)、今の和歌山県の有田(ありた)と日高(ひだか)の郡境(ぐんざかい)にある鹿ケ瀬峠(ししがせとうげ)というところへ、惣七(そうしち)という猟師(りょうし)が猪(いのしし)を撃(う)ちに行ったそうな。  いつものように犬を使って猪を追い出そうとしたが、その日にかぎって一頭も出てこん。

この昔話を聴く

現在881話掲載中!