竹から生れた姫は 話が飛んで 別の話に成っている。 何処で間違えたのかね~ ( 80代以上 / 男性 )
― 山形県 ―
語り 井上 瑤
再話 六渡 邦昭
むかしむかし、爺(じ)んつぁと婆(ば)んちゃ居だっけど。
爺んつぁ、竹伐(き)って暮(く)らしった。
ほれ、洗濯竿(せんたくざお)だの、竹細工する竹だの、いろいろ伐って暮らしった。
爺んつぁと婆んちゃには、子供いねがったもんだから、子供欲しい、子供欲しい、って言うて神さまさお祈りしたったけど。
挿絵:福本隆男
ある日、爺んつぁ、竹伐りに行ったれば、何だか根っこの方がピカピカ光る竹あっけど。
「不思議な竹もあるもんだ。竹の光るのざぁ、この年なっけど初めて見だ」
て言うて、
「ンだら、ひとつ丁寧に伐ってみっか」
て伐ってみた。
ほしたらなんと、ほの光る竹の中から小っちゃこい、小っちゃこいオボコ産まれてきたっけど。
「はぁぁ」
て言うて、見とれてたけど。
爺んつぁ、落としちゃなんねぇ、転(ころ)んじゃなんねぇって、家さ連れて帰ったと。
「婆んちゃ、婆んちゃ、早よこっちゃ来い。ほれ、これ見てみれ」
「はえ、はえ、どっこいしょ」
「早よ来いってば」
「はえはえ」「はえ来た」
「いいかぁ、腰(こし)抜かすなぁ、いいかぁ」
「何だべか、せかしたり、じらしたり」
「いいかぁ、ほれ」
挿絵:福本隆男
「あやぁぁ」
「なぁ」
「あやぁぁ」
「なぁ」
「はえぇ」
爺んつぁと婆んちゃ、ほのオボコ、竹姫(たけひめ)て名付けて育てたけど。
竹姫、器量(きりょう)よしなって、だんだん大きくなって、とうどう年頃(としごろ)になったどはぁ。
評判(ひょうばん)聞いたお殿(との)さま、
「ぜひ、お嫁(よめ)さんに欲しい」
て言うて来たど。爺んつぁ、
「いや、あの、おら家(え)でも後継(あとと)り居ねがら呉(け)てやらんね」
て、断(ことわ)ったど。お殿さま、
「どうでも貰(もら)いにくる」
て言うた。
お殿さまの命令で、なんとも仕方ない。
月夜の晩に、駕籠(かご)を仕立てて竹姫を貰いに来たど。
ほの駕籠(かご)、二重(ふたえ)にも三重(みえ)にも家来たちがとりかこみ、護(まも)って、さあお城さ連れて行くベとしたら、みんなみんな眠たくなって、その場に寝(ね)っ転がったど。
挿絵:福本隆男
ほんどき、天から虹色(にじいろ)に輝(かがや)く雲が降りて来て、竹姫、駕籠から出てほの雲に乗り、天さスイスイスイスイと昇(のぼ)っていくわけだ。
ほしたら、家来だち、みんな目覚めて、天を指差して、
「縄(なわ)投げろ」
「矢を射(い)れ」
て大騒(おおさわ)ぎだけど。
ほだえしているうちに竹姫は、はるか天上へ昇って行ってしまったど。
どんぴんからりん、すっからりん。
竹から生れた姫は 話が飛んで 別の話に成っている。 何処で間違えたのかね~ ( 80代以上 / 男性 )
良い
むかし、ある武士の屋敷にひとりの下男が奉公しちょったと。あるとき、この下男が刀鍛冶の家へ行って、「おらも武士の家へ奉公しちょるきに、刀の一本くらいは持っちょらにゃいかんと思う。すまんが一本作ってくれんか」とかけあった。
「竹姫」のみんなの声
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