12体の地蔵と雨の笠地蔵は珍しいです( 20代 / 男性 )
― 山形県 ―
語り 井上 瑤
再話 野村 敬子
むがし、むがし。
むがし、あったど。
あるどこさ、貧(まず)しい暮(く)らしをしている爺(じい)ど婆(ばあ)どいであった。
二人は、蓮(はす)の葉ば売って、盆(ぼん)の買い物すねばなんね。
「ほんでぁ、盆の蓮の葉売りに行って来るぞ。帰りに盆魚(ぼんざかな)でも買って来るべえ」
て、爺、町へ蓮の葉売りに出がげだど。
とちゅうがら、雨こ降(ふ)って、ざあざあ降(ぶ)りになった。爺、山道行ったらば、地蔵様(じぞうさま)あって、小屋こも持だねで、雨の中だらだらど濡(ぬ)れってだなだけど。
爺、地蔵様どごば、かわいそうでかわいそうでな、蓮の葉ば売らねで、
「地蔵さん、地蔵さん。雨の中ご苦労にな。蓮の葉でもかぶってござれや」
て、自分の売り物ば、べろり地蔵様さかぶせで帰って来た。
「婆、婆、今帰った。町さ行がねで帰って来た。蓮の葉売りに行ったらば、小屋も持だねで地蔵様がずぶぬれになってるもんで、売り物ばべろりかぶせで戻(もど)ったなよ。今年は盆魚は無しで水呑(の)んで暮(く)らすべは。えいの干物(ひもの)も昆布巻(こぶま)きも我慢(がまん)すんべぇ」
て、二人、
「早ぐ寝るべは」
て、早々(はやばや)と寝敷(ねじき)さ入ったど。
すっと、夜中時分(よなかじぶん)、何だが、すばらす音がすっと。ずんずんじゅう地響(じひび)ぎもする。耳ばよっぐ澄(す)ますど、
「どっこいしょ。よっこらせ。どっこいしょ。よっこらせ」
て、音がして、ずずん、ずずんて、たいした音よな。
「なえだて、こっちさくるで。一体なえだべや」
て、二人とも寝敷(ねじ)ぎの上さちょんこりど起ぎだ。どうも、二人の家の方さ向かって来る。
「よっこらせ、どっこいしょ」
て、よな。
「婆、婆。何がて言ってるぜ」
「ん。何だべ。おかねごど」
て、がだがだじゅうもんだった。すっと、
〽蓮の葉ばかぶせでくった爺の家どごだべ
〽蓮の葉ばかぶせでくった爺の家どごだべ
って呼ばる。
「あ、地蔵様だ」
て、いうどな。
「あ、ここだ。ここの爺だ」
て、どやどやと声するけ、ザザーン、ジャラランどんて、金だの銭(ぜに)だの、えっぺ家の前さ置(お)いでった。
「これで、盆もちゃんとするえな。良(え)がった、良がった」
て、爺も婆も大喜びだけど。
どんぺからっこねけど。
12体の地蔵と雨の笠地蔵は珍しいです( 20代 / 男性 )
昔、豊後(ぶんご)の国、今の大分県臼杵市野津町(うすきしのつまち)の大字野津市(おおあざのついち)というところに、吉四六(きっちょむ)さんという、頓知(とんち)の優(すぐ)れたとても面白い男がおったと。 その吉四六さんが、ある日、馬に荷を積んで売って歩いていたのだと。
とんと昔があったけど。ある日、ネズミとイタチが道で出会うたと。ネズミが、「イタチどん、イタチどん、おら粟の穂三穂持っている。一緒に種蒔きしねか」と言うたら、イタチが、「そりゃ、いいども。育ったらどうする」 と聞いたと。
「地蔵むがし」のみんなの声
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