まさかこんな結末だとは!( 40代 / 男性 )
― 山形県 ―
語り 井上 瑤
再話 大島 廣志
整理 六渡 邦昭
むかし、ある山の中に、二つの泥棒村があったと。
上(かみ)の村には泥棒が百人、下(しも)の村にも泥棒が百人住んでおったと。
あるとき、上の村の泥棒たちが、お城の宝物を、たーんと盗んで来た。
それを聞いた下の村の泥棒たちは、
「ようし、上の村の宝物を全部こっちの村で、もらってしまおう」
と、相談をしたと。
そして、村境に大きな落とし穴を作ると、使いの者が、上の村へ行って、
「おーい、上の村の泥棒よー、下の村にも宝物を半分、分けてくれー」
と、叫けんだと。
さあ、怒(おこ)ったのは上の村の泥棒たち。
「なんだと、泥棒に宝をよこせとは何事だ」
というと、ワァーッとばかりに下の村へ押し寄せたと。
そのとたん、村境の落とし穴にズドーンと落っこちて、みな死んでしもうたと。
喜んだのは、下の村の泥棒たち。
上の村へ行って宝物を盗ってくると、片っぱしから分けはじめた。
ところが、いろんな宝物があるから、口々(くちぐち)に、
「おれのは少ない」
「おれのは見劣(みおと)りする品ばかりだ」
と、不平(ふへい)たらたらだと。
そこで、みんなが二組(ふたくみ)に分れて、勝った方の組が宝物を全部もらうことにしたと。
百人が五十人ずつに分かれて、エイヤッ、エイヤッと、戦いをはじめた。
しばらくすると、弱い方の組は全部やられてしもうた。
今度は、残った五十人が、また二組に分かれて、エイヤ、エイヤ、と戦ったと。
そうやって、勝った組が半分ずつに分かれて戦い続けているうちに、とうとう、二人になってしもうたと。
そこで二人は考えたと。
「やれやれ、やっと二人になった。どうじゃい、二人で宝物を山分けにせんかい」
「そうじゃな。二人で分けたほうがよかろう」
「そうと決まったら、なんだか腹がすいた。わしはひとっ走(ぱし)り、ふもとの村へ行ってめしを盗んでくるから、それまで、宝物を分けるのを待っていてくれ」
「ああ、わかった」
ということになって、一人の泥棒は、山をかけ下(お)りて行ったと。
山に残った、もう一人の泥棒は、
「それにしても、宝物を一人占(じ)めにする方法はないもんかのう」
と考えていたが、めしを盗みに行った泥棒が帰って来るのを待ち伏せして、いきなり跳(と)びついて、殺してしもうたと。
最後に一人残った泥棒は、
「これで、宝物は全部おれさまのもの。さてさてさて、腹が減ったわい。どうれ、こいつが盗んできた飯(めし)でも喰うか」
というと、地面に転がっていた握り飯を拾って、パクッと食らいついた。
すると、
「あ、いたたた、腹が痛い、のどが焼ける」
というて苦しみ出し、あっという間に死んでしもうたと。
握り飯に毒が入っていたわけさ。
みんな、みーんな、自業自得というものさ。
とんぴんからり、さんしょの実。
まさかこんな結末だとは!( 40代 / 男性 )
昔、ご飯をよそったときに、しゃくしでおひつのふちを絶対にたたくものではないと言われました。 それは行儀(ぎょうぎ)が悪いからというだけでなく、”くだしょう”がやってくるという大きな理由があったからです。
むかしあったと。 ある村のはずれに、化け物が出るというお寺があった。 村の人達はおそろしいもんだから、誰(だれ)もそのお寺には近づかないようにしていた。
「二百人の泥棒」のみんなの声
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