とても面白い( 30代 / 女性 )
― 静岡県 ―
語り 井上 瑤
再話 六渡 邦昭
むかしあったと。
ある日、豆腐屋(とうふや)の主人(しゅじん)が用事で家を留守(るす)にしたと。
そこで豆腐と油揚げ(あぶらあげ)とおからが、
「親方(おやかた)がいないときくらい、のんびりすまいか」
「ああそうだ、何かして遊ぼう」
「それがいい」
というて、三人して座敷(ざしき)へあがって茶を飲んだと。
そのうちに豆腐が、
「ひとつ歌でも作って遊ぼう」
というたら、油揚げとおからが、さんせいしたと。豆腐が、
「いいだしっぺのおれから、まず歌おう」
というて、
〽 火攻(ぜ)め水攻め
一丁二丁(いっちょうにちょう)と
切りさかれては
もとのマメ(豆)にはなれやせん
と詠(よ)んだ。
次に油揚げが、
〽 水攻め火攻めはいとわねど
油攻めとはなさけなや
末はおいなりさんといわれても
と詠んだ。
次におからが詠もうとしたら、そこへちょうど主人が帰って来た。
三人はあわてて、元の場所に戻ろうとした。
豆腐と油揚げは自分の桶(おけ)にすべり込めたが、おからだけは遅(おく)れた。あせればあせるほど、方々(ほうぼう)に広がってしまったと。
そこへ主人が来て、
「誰がおからを座敷に広げた。きたない」
というて、片端(かたはし)から箒(ほうき)で掃(は)いて庭に捨ててしまった。
おからは口惜(くちお)しくてならない。そこで庭から大声で、こうどなった。
「俺が主人は、加藤清正(かとうきよまさ)!」
すると主人は、座敷から、
「そりゃまたなぜに?」
ときいた。
すると、おからは、
「から(唐)を攻めるじゃないかいのー」
というたと。
それでいちがさかえた。
とても面白い( 30代 / 女性 )
むかし、あるところに旅商人の小間物売りがおったと。 小間物売りが山越(ご)えをしていたら、途(と)中で日が暮(く)れたと。 あたりは真っ暗闇(やみ)になって、行くもならず引き返すもならず途方に暮れていたら、森の奥(おく)に灯りが見えた。
「豆腐と油揚げとおから」のみんなの声
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