― 島根県 ―
語り 井上 瑤
再話 六渡 邦昭
うぐいすが啼(な)く頃になりましたねえ。
うぐいすはきれいな鳥で、ほんとに立派(りっぱ)な巣(す)うもこしらえるのよ。
昔にね、うぐいすの巣うを鳩(はと)が見て、あんな立派(りっぱ)な巣うをおれもこしらえられたらいいなあって。
それで、うぐいすに習(なら)いに行ったそうよ。そうしたら、うぐいすはちいっとも嫌(いや)がらないで、丁寧(ていねい)に丁寧に教えたって。
「ああして、こうして」
って。
そうしたら鳩は、ちょっとせっかちでね、話半分ぐらいしか聞かないで、
「ははあ、ああそうか、ああそうか、はあそうですかあ」
って、あたふたと帰ったそうよ。
我家(わがや)へ帰った鳩は早速(さっそく)巣うこしらえはじめたって。ところが、なかなか、うぐいすの巣うのようには作れない。
もうちいっと身い入れて聞いときゃよかったとは思うものの、
「まあ、ええわあ」
って言うてね、不格好(ぶかっこう)な巣うのまま住んだそうよ。
昔からのたとえに、「鳩合点(はとがてん)」と言う言葉があるけれど、これは少しばかり聞いて、
「ああ、そうか、そうか」
って言うような人のことを指すそうよ。
これぽっきり。
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長崎県西海市の松島は西彼杵半島の西一キロメートル沖、五島灘に浮かぶ島で、江戸時代には捕鯨が盛んな島だった。この松島に与五郎という肝の太っとい鯨捕りが住んでおったと。与五郎は毎日、「どうかして、鯨がたくさん捕れる方法はないものか」と考えておったと。
昔、あるどごに父(おど)と母(おが)と娘と暮(く)らしてあったと。父と母ど松前(まつまえ)さ、働ぎに行ったど。娘、一人で家にいだど。娘ァ父と母と帰るまでに、麻糸(からむし)の糸玉ばこさいでおぐべど思って、夜おそくまでせっせど働いでいだど。
「鳩合点」のみんなの声
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