こども、アハハと笑って読めました。( 30代 / 女性 )
― 埼玉県 ―
語り 井上 瑤
再話 六渡 邦昭
むかし、あるところに、一日に千里(せんり)遠くへ飛べる鳥があったと。
あるとき、この鳥が海辺の木に止まって、
「海の岸づたいなら遠くへ飛んだことはあるけれど、海の向こうへは飛んだことがないなあ。どれくらい広いのか、いっぺん行ってみるか」
と言うて、海の向こうへ飛んで行ったと。
最初の日、飛んで飛んで飛んでいたら、日が暮れた。下を見たら、うまい具合に枯木(かれき)があった。
「丁度(ちょうど)いい、あれで休もう」
と言うて、枯木に止まって羽休め(はねやすめ)した。
夜が明けて、また飛んだと。
飛んで飛んで飛んでいたら日が暮れた。下を見たら、うまい具合に、また枯れ木があった。
「丁度いい、あれで休もう」
と言うて、枯れ木に止まって羽休めした。
そしたら、海の中で海老(えび)が、
「鳥のやつめ、昨日は俺の右のヒゲに止まったが、今夜は左のヒゲに止まっとるわい」
と言うて笑い、鳥が眠っている間(ま)にこっそり廻れ右をしたと。
そうとは知らない鳥は、夜が明けたらまだ飛んで、日が暮れたら丁度うまい具合にある枯木に止まり、
(本当は、海老の、今度は右のヒゲなんだけどね)
次の朝飛んだら、日暮れ頃になって、ようやく岸に着いた。そこは鳥が最初に飛びたった所だった。鳥は、
「海の向こうをぐるっとまわってきたわけだ。三泊四日で地球をひとまわり出来た」
と言うて喜んだと。
それを聴いた海老は、
「アハ、馬鹿(ばか)な鳥。途中(とちゅう)から引き返したのをまだ気づいとらん」
と言うて笑うた。
そして、
「しかし何だ。海がどんくらい広いのか俺も知らんなあ。いっぺん行ってみるか」
と言うて、ピョンピョンはねて行ったと。
はねてはねてはねて行ったら、日が暮れた。うまい具合に岩穴(いわあな)があったので中に入って泊(と)まったと。
夜が明けたので、またピョンピョンはねて行ったら、日が暮れた。またうまい具合に岩穴があったので、中に入って泊まったと。
そしたら、海の中で亀(かめ)が、
「海老のやつめ、昨日は俺の右の鼻の穴に泊まったが、今夜は左の鼻の穴に泊まっとるわい」
というて鼻で笑うた。
そのひょうしに海老のヒゲがゆれて、亀、大っきなクシャミをした。海老は飛ばされて、あっというまに元の所へ戻ったと。
寝ぼけまなこで目が覚めた海老は、
「ありゃ、いつの間にか元の所へ着いとる。してみると、海は二泊三日の広さか」
と言うた。
それを聴いた亀は、
「アハ、馬鹿な海老。俺のクシャミで飛ばされて戻ったのを、まだ気づいとらん」
と言うて笑うた。そして、
「しかし何だ、海がどんくらい広いのか、俺も知らんなあ。いっぺん行ってみるか」
と言うて、出発場所を決めに砂浜へ這(は)いあがったと。
ゴソリゴソリ這っていたら、漁師(りょうし)の子供が遊びに来て、その亀、ひょいと拾うて家に帰ったと。
おしまい チャンチャン。
こども、アハハと笑って読めました。( 30代 / 女性 )
とんとむかし。高知県土佐の幡多の中村に泰作さんというて、そりゃひょうきんな男がおったそうな。 人をだますのが好きで、人をかついじゃ面白がりよったと。 ある日のことじゃった。 泰作さんは屋根にあがって、ひとりで屋根ふきをしょった。 ほいたらそこへ、近所の若いしらが二、三人で通りかかったちゅうが。
「海のひろさ」のみんなの声
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