民話の部屋 民話の部屋
  1. 民話の部屋
  2. 草木の話・動物の由来にまつわる昔話
  3. 水乞鳥の不孝

※再生ボタンを押してから開始まで時間がかかる場合があります。

みずこいどりのふこう
『水乞鳥の不孝』

― 埼玉県 ―
語り 井上 瑤
再話 六渡 邦昭

 むかし、あるところに、母と息子が二人で暮らしていた。
 母は息子を可愛(かわい)がっていたが、息子の方は少しも母の言う事など聞きはしない。その為に、母は病気になってしまった。

 あるときのこと、母は、
 「のどがかわくから、水を一杯おくれ」と息子にたのんだ。そうしたら息子は、家の前の川まで水を汲(く)みに行くのがおっくうで、
 「なに、のどをかわかす火をくれってか」
というて、囲炉裏(いろり)で燃(も)えている細木を一本抜いてやった。

 母はそれを見て、急に死んでしまったと。
 息子はびっくりして、悔(く)やんで悔やんで、悔やみぬいて、とうとう鳥になったと。


 それからは、母の墓場(はかば)の木の上に、くちばしから尻尾(しっぽ)まで真っ赤な鳥が、いつも、いつまでも止まっているようになった。
 鳥になった息子は、のどがかわいてならんのだと。谷川へ行って水を飲もうとすると、水に己(おのれ)の姿が真っ赤に映る。それが火が燃(も)えているように見えるので、怖(おそ)ろしくて、どうしても水が飲めない。


 雨が降ると、木の葉に宿った露(つゆ)を、かろうじて吸っては、のどのかわきをいやすのだと。
 それで、いつも空に向かって
 〽 降れ 降れえ。降れ 降れえ。
 と啼(な)いて、雨を呼んでいる。
 里の人たちは、この鳥がしきりに啼(な)くと、
 「これは近いうちに雨が降るぞ。今日は水乞鳥(みずこいどり)がしきりに啼くで」
と話し合うのだと。
 この鳥のことを「みやましょうびん」という人もあるそうな。

 おしまい、ちゃんちゃん。

「水乞鳥の不孝」のみんなの声

〜あなたの感想をお寄せください〜

一番に感想を投稿してみませんか?

民話の部屋ではみなさんのご感想をお待ちしております。

「感想を投稿する!」ボタンをクリックして

さっそく投稿してみましょう!

こんなおはなしも聴いてみませんか?

金貸しほととぎす(かねかしほととぎす)

むかし、むかし。あるところにお寺があって、和尚さんが一人で住まっていたって。この和尚さん、お寺の本堂を建てたいと思っていたけどお金が無かったって。和…

この昔話を聴く

トンチンカン小僧(とんちんかんこぞう)

 昔、あるところに、やることなすことどこかずれてしまう小僧がおったと。  ある日のこと、主人が、  「今日は山に行って木を伐って来い」 といいつけて、焼き飯を持たせてやったと。

この昔話を聴く

捨て子の報い(すてごのむくい)

 むかし、堀内(ほりうち)の甚六(じんろく)という人がいてあったど。  貧乏(びんぼう)で、着る物てば、夫婦にひとつしか無かったすと。

この昔話を聴く

現在883話掲載中!