自分が知ってるやつと違う( 20代 / 女性 )
― 岡山県 ―
語り 井上 瑤
再話 六渡 邦昭
むかし、むかしあるところに爺さんと婆さんがおってな、爺さんは山へ柴刈りに、婆さんは川へ洗濯に行ったそうな。
婆さんが洗濯をしていると、川上から大きな桃が、プックリコウ、スッコッコウと流れてきた。婆さんがそれを拾って食べてみたら、うまかった。それで川上に向って、
「もう一(ひと)つ流れよ、爺さんにあげよう。もう一つ流れよ、爺さんにあげよう」
というと、赤い大きな桃が、また流れてきたそうな。
婆さんは、ひしゃくでひょいとすくうて持って帰ると、戸棚」(とだな)にしまっておいた。
晩方になって、爺さんが、山から柴を背負(せお)って戻った。
「爺さんな、今日、川から、うんまい桃を拾うて来たよって、お食べぇ」
婆さんが桃を出して切ろうとしたら、桃がぽかっと二つに割れて、中から男の子が、「ホホヤア、ホホヤア」と出てきたと。
爺さんと婆さん、びっくりして、
「あいややぁ、こらァ大事(おおごと)だぁ」
ってんで、湯を沸(わ)して産湯(うぶゆ)をつかったり、産着(うぶぎ)を着せたり、大騒ぎ。
「家には子供がなかったのに、思いもかけず子を授かって嬉(うれ)しいことじゃあ。桃から生まれたから、名前を桃太郎にしょうかいの」
って、桃太郎と名付けたと。
爺さんと婆さんは二人して、粥(かゆ)をすすらせたり、魚のすり身を食べさせたりして育てた。
桃太郎は、一杯食べさせれば一杯だけ、二杯食べさせれば二杯だけ、大きくなって、やがて、山仕事も出来るくらい力持ちの子供に育ったと。が、何にもせんで、いつもイロリ端でごろんと寝てばかり。
あるとき、近所の子ぉが、
「桃太郎、桃太郎、山へ木を伐(か)りに行こう」
と誘(さそ)いに来たら、
「今日は縄(なわ)をなわにゃならん」
と言うて、行かん。
爺さんと婆さんが、縄をなってくれるのかと喜んでいると、桃太郎はなんにもしないで、ごろんと横になったまんま。
あくる日は、
「今日は、背な当てを作らにゃならん」
その次の日は、
「わらじのひげをむしらにゃならん」
と言うて、動こうとせん。
爺さんと婆さんが、何ちゅう横着者(おうちゃくもん)かと思っていると、四日目にやっと連れだって山へ行ったそうな。
ところが、桃太郎は昼寝ばっかりして、弁当食べる時起きただけ。
晩方になって、一緒に行った子ぉが、
「もう帰ろうや」
と言うたら、「ワ-」と大あくびをして起きあがり、大っきな木の根っ子へ小便たれると、その木をガボッと引き抜いて、かついで戻った。
「ばあちゃん、もどったよ」
と声がするから出てみたら、置き場所も無い位の大木(たいぼく)だ。
「どこへ置こうか、庭さきへ置こうか」
「庭さきに置きゃぁ、庭がふさがる」
「軒(のき)に立てかけようか」
「軒に立てりゃあ、軒が砕(くだ)ける」
仕方ないから、谷川へポイと投げると、地響(じひび)きがして、山がゴオッと鳴ったと。
夜中になって、殿様の遣(つか)いがやって来た。
「ありゃ、何の音か見て来い」
とのおおせだそうな。
お城へ戻った使いから、桃太郎が大木を引き抜いて谷へ投げた音だと聞いた殿様は、ひざをポンとたたいて、
「そんなに力持ちなら、桃太郎を鬼が島へ鬼退治(おにたいじ)にやろう」
と命(めい)じたと。 爺さんと婆さんは、そんならまあ、日本一のきび団子をこしらえちゃろう、と臼(うす)をゴ-リン、ゴ-リン挽(ひ)いて、大きなきび団子を三つ、こしらえてやった。
桃太郎は、それを腰(こし)に結びつけて勇(いさ)んで出掛けた。
いくがいくがいくと、犬が出て来て、
「桃太郎さん、桃太郎さん、どこ行きなさりゃ?」
「鬼が島へ鬼退治に行く」
「腰につけているのは、何ですりゃ」
「こりゃあ、日本一のきび団子」
「そんなら一つおくれな。お供(とも)するから」
「一つはだめだ。半分やる」
犬は、きび団子を半分もらってついて行ったそうな。今度は猿(さる)が来て、
「桃太郎さん、桃太郎さん、どこ行きなさりゃ」
「鬼が島へ鬼退治に行く」
「腰につけているのは、何だすりゃ」
「こりゃあ、日本一のきび団子」
「そんなら一つおくれな。お供するから」
「一つはだめだ、半分やる」
猿もきび団子をもらってついて行ったら、今度はきじが出て来た。
そこで、きじにもきび団子を半分やって、
桃太郎は、犬、猿、きじを連れて行ったそうな。
鬼が島へ着いてみたら、鬼は、大きな門(もん)をピシャンと閉めて入らせん。
すると、きじが、パァ-と飛んで門を越え、内から門を開けた。
「それ行けぇ」
と、どおっと入って行った。
鬼は、
「何の、桃太郎が何だ」
と、ばかにしてかかって来たが、何しろ、こちらの四人は日本一のきび団子を食べているので千人力(せんにんりき)。
鬼を、片っぱしからやっつけるそうな。
犬は鬼の足にかみつくし、猿はひっかく、きじは顔やら目やらをつっついて、とうとう鬼を負かしてしまった。
鬼の大将(たいしょう)は、
「どうぞ、命ばかりは助けてくりょ。ここにある宝物を全部あげますけぇ」
と、降参(こうさん)したと。
桃太郎は、宝物を荷車(にぐるま)に積んで、犬と猿ときじと、みんなで押したり曳(ひ)いたりして戻ったそうな。
桃太郎は殿様にほめられ、いっぱい褒美(ほうび)をいただいて、爺さんと婆さんに一生安楽させたそうな。
どっとはらい。
自分が知ってるやつと違う( 20代 / 女性 )
みんなが知っていていて楽しいお話( 10歳未満 / 女性 )
普通の桃太郎はねないでしょうが^x^
なんか見たことあるなぁぁぁぁおもしろいぃぃぃぃぃいぃ( 10歳未満 / 女性 )
桃太郎はみんな知っているお話なのでおすすめです!!!( 10歳未満 / 女性 )
普通に面白い笑ꉂ(ˊᗜˋ*)( 10歳未満 / 女性 )
桃の子太郎悲しい????( 10歳未満 / 女性 )
面白い( 10歳未満 )
楽しかった( 男性 )
毎日彼女の為に昔話を読んでいます。 彼女は犬、猿、キジにきびだんごを半分しかあげないのはケチだと言っていました。 そして、半分着いてくる動物達もおかしいと言っていました。 とても良いお話でした✨( 20代 / 男性 )
とんと昔あったげな。 じいさんとばあさんがおったげな。 ある日のこと、じいさんが言うことにゃ、 「ばば、今日は天気もいいで、ちょっくら山奥までマキを取りに行くから、にぎりめしを焼いて焼きめしこしゃえてくれ」 そしたら、ばあさんは焼きめしをひとつ作ってくれたと。
「桃の子太郎」のみんなの声
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