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こめだしにんぎょう
『米出し人形』

― 新潟県 ―
語り 井上 瑤
再話 六渡 邦昭

 むかしあったんだと。
 ある村に、婆さと働き者の兄さが住んでいたと。
 兄さは木こりで、毎日山へ行って木を伐(き)っていたと。
 ある時、兄さが木を伐っているところへ、曲(まが)りくねった杖(つえ)を持ち、白いヒゲをはやした仙人のような神様が出てこられて、
 「これ兄さ、お前はよう働くすけ、福を授(さず)けてやる」
と、木の人形をくだされたと。
 「この人形は、一日に米を二升ずつ生むすけ、お前は今度から米を買わんでもいいど」
 「おう、こら、まあ、ありがたいこんでねか」  
 兄さは礼を言うと、人形をもろうて喜んで帰って行った。 

 
 家に帰って二階にあがると、人形を箱の中にしまって、
 「こら、大事な宝物だ」
と、かしわ手を二つポンポンとうって拝(おが)んだと。
 ほうして、毎日、二升の米を出してもろうて楽に暮らしていたと。
 ほしたれば、婆さが、
 「おらちの兄さは、毎日二階から米持ってきてマンマ炊(た)くが、おら不思議でなんねえ。まあ、今日という今日は行って見てこうや」
と思うて、二階へあがってそこらを捜(さが)したら、箱があったと。
 ほうしたれや、その箱のふたを取って見たれば、かわいげの人形が入っていて、尻(しり)からポロリポロリと米が出ていたと。
 「あやぁ、これは不思議な。んでも、これっぽっちじゃあじれったい。もっといっぺ出してやれ」
と、小刀で尻の穴をでっかくしたと。
 ほうしると、米の出るのがヒッチリ止まって、一粒も出なくなってしまったと。 

 いきがポーンとさけた。ドッピン。 

「米出し人形」のみんなの声

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楽しい

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