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ひゃくものがたり
『百物語』

― 新潟県 ―
語り 井上 瑤
再話 六渡 邦昭

 昔、あったてんがな。
 若(わか)い者(もん)がお寺に集まって、百物語(ひゃくものがたり)をしたと。
 ローソク百本つけて、昔話を百話語り合う。一話(いちわ)語(かた)りおえると一本ローソクの火を消して行き、百話語りおえると、まっ暗になるという寸法(すんぽう)だ。
 語って、語って、ちょうど百話おわったと。ローソクの火、フッと消したら、突然、ガタンと天井板がはずれ、ドタンと落ちてきたものがある。
 ギャーッと叫んで皆々逃げた。逃げたけれども、誰(だれ)も何(なに)されたわけでもない。怖(こ)わ怖(ご)わ何が落ちてきたのか、のぞいてみた。本堂のまんなかに、でっかい櫃(ひつ)が落ちてきていて、その中にボタモチがいっぱい入っていた。

 若い者たちは、これはありがたいと言うて、そのボタモチを皆ですっかり食べたと。
 次の晩、若い者たちは、またボタモチ食(く)いたいとて、お寺に集まって、百物語したと。


 昔話を語り、九十九話になり、百話おわったと。ローソクの火がフッと消されたそのとき、天井板がガタンとはずれて、ドタンと落ちてきたものがある。
 今度は若い者たちは逃げなかった。誰かが、ボタモチと一緒にお茶もくればいいな、というた。 

 が、どうも昨日と様子がちがう。ローソクに火を点(とも)した。そしたら、落ちてきたのは、櫃に入ったボタモチではなく、真白(まっしろ)いヒゲの爺(じ)さまが、片手にそろばん、片手に大福帳(だいふくちょう)を持って立っておったと。

 ほうして、帳面を見て、そろばんをパチパチしてから、
 「お前たちは、ゆんべ櫃に入ったボタモチを食うた。今日はその勘定(かんじょう)をしてくれえ」
というたと。
 百物語をすると、化物が出る。

 いきがぽおんとさけた。鍋(なべ)の下ガリガリ。

「百物語」のみんなの声

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