何でも面倒でも言葉を出すのはできてしまうんですよね( 10代 / 男性 )
                                ― 長野県 ―
                                
                                                                                                                                                        語り 井上 瑤
                                                                                                                                                                再話 六渡 邦昭
                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                
                            
                             昔、あるところに無精者(ぶしょうもの)の男があったと。
 あるとき、男は用たしに町へ出かけたと。
 家を出しなに、女房(にょうぼう)は握(にぎ)り飯(めし)をこしらえて、無精な亭主(ていしゅ)の首にくくりつけてやったと。
 男はのんびりのんびり歩いて、昼頃(ひるごろ)になったら腹がへった。首に握り飯がくくりつけられてはいるが、手を動かすのがめんどうくさい。
                            
                
 「ま、いいや。向こうから誰(だれ)かきたらとってもらおう」
と言うて、懐手(ふところで)をして歩いて行ったら、うまいあんばいに、向(む)こうから口を大きく開けた男がやってくる。無精な男は、
 「あんなに口を開けているところ見ると、よっぽど腹が空(す)いているにちがいない。あの人に頼(たの)んで、首から握り飯をとってもらおう」
と、待っていたら、大口を開けた男が目の前へやってきた。
 「もし」
 「あーん、わしに何か用か」
 「んだ。わしは首に握り飯をくくりつけてあるんだが、あんたさん、包(つつ)みをほどいて握り飯を出してくれんじゃろか。ついでにわしの口の中にひとつ食わえさせてくれ。そしたら、あんたさんに半分(はんぶん)、わけてあげるが」
 こう頼んだと。
        
                            
                            
  そしたら、大口を開けた男は、
 「わしはさっきから、笠(かさ)の紐(ひも)がゆるんで困(こま)っているが、その紐を結(むす)びなおすのがめんどうで、めんどうで、それでこうして口を開いて、笠が頭から落ちんようにしているところだ。我(わ)が紐を結ぶのもめんどうなのに、お前さんの首の包みをほどくなんぞ嫌(いや)なこった」
 こう言うたと。
 
 それっきり。
                            
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めんどうで、めんどうで、おもろすぎ(笑) ( 20代 / 男性 )
むかし、馬を引いて荷物を運ぶ、ひとりの馬方(うまかた)がおった。ある日、馬方は山を越えた村へ出かけて行った。塩と魚をたあんと馬に背おわせて、コットリコットリ、峠(とうげ)までくると日が暮れてしまった。するとうしろから・・・
むがす、むがす、あっどごに貧乏だったげんども、正直で働き者の百姓がいたど。 八十八夜様が来っと、何がなくても餅を搗いて神さんさ上げて、豊作を祈願してたど。 ところが、ある年のこと、不作で飯の米にもこと欠くようで、八十八夜様がやって来ても、餅搗いて上げようもなかったんで、隣近所さご無心して、やっと餅を搗いて上げることができたど。
「二人の無精者」のみんなの声
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