民話の部屋 民話の部屋
  1. 民話の部屋
  2. 河童が登場する昔話
  3. 河童岩

※再生ボタンを押してから開始まで時間がかかる場合があります。

かっぱいわ
『河童岩』

― 宮崎県 ―
語り 井上 瑤
再話 六渡 邦昭

 むかし、ある川の中に一ぴきの河童が棲んでいたと。
 ある時、子供達が大勢集まって、川の中に白い小石を投げ込んでその小石を取りあいっこしては遊んでいた。
 すると、そこへ水ん中から河童が顔をだして、
 「俺(お)れも仲間に入れてくりや」
という。
 子供達は、河童が子供の尻子玉(しりこだま)を取って食う怖ろしいやつだと聞いていたので、みんなすきを見て逃げ出そうと思っていた。 

 
 ところが、河童は、
 「俺れと早よ競べして、勝った者(もん)にゃ、こん魚をくるるわい」
といって、笹の串にさした魚を見せた。
 「まこっち、くるるとかい。くるるならやっちみるわい」 
 こうして河童と子供たちは競争を始めたと。が、何度やっても河童には勝てん。たまりかねた一番大きな子供が、
 「よし、今度はおりが河童の相手になっちくるる」
と、小石を深いところへ投げ込んで河童と一緒に川へ飛び込んだ。
 子供達はワ―と歓声をあげながら、どっちが早く石を拾って来るかを、かたずをのんで見まもっていた。
 しかし、いくら待っても、どちらもあがって来ないんだと。
 さあ、子供たちはびっくりして、
 「河童にしがみつかれたぁ」
と、大声で叫びながら、家々へ飛んで帰っていった。


 たちまち村中は大騒ぎになった。
 村人達は、夜になってもかがり火を焚(た)いて川ざらいしとったが、大きい子供は見つからん。
 
 次の日の昼頃も探していると、昨日の河童が、ひょこっと姿をあらわした。
 村人達は、いっせいに河童を取り囲みつかまえたと。で、子供をどこへやったと、問いただすと、大きい子供は、泳ぎが達者で、河童の先をもぐっていったが、よくみるとその子が青っ尻だったので、つい、うまそうだと尻子玉を抜いて食っちまった。そしたらその子供は水に流されていっちまった―と白状した。
 「こらえて下さい。俺れが悪かった」
と、河童は涙を流しながらあやまったと。
 村人達は、
 「二度と子供の尻子玉は抜かない、と約束するならゆるしてやる。川の中にある、大きなあの岩が腐るまで悪さをするこっちゃならんぞ」
と言って、河童を放してやったと。 

 
 それからというもの、河童はこの約束を守って悪さをしなくなったと。
 それでも時々は、この岩に登って来ては、
 「こん岩、まだ腐れんじゃろか」
と、いいながら、爪(つめ)の長い水かきのある手で岩を撫でまわしているんだと。
 この岩を河童岩ちゅて、川遊びの子供達はここには近づかんように泳ぐんだと。

 こりぎりの話

「河童岩」のみんなの声

〜あなたの感想をお寄せください〜

驚き

大きい子供帰って来なかったのね… なんだか怖い余韻ですね( 50代 / 女性 )

こんなおはなしも聴いてみませんか?

カマ池の由来(かまいけのゆらい)

 むかし、越中(えっちゅう)の国、今の富山県にある村に横笛のたいそう上手な若者がおったと。  若者は炭焼きだった。山の中に小屋と窯(かま)を作り、そこに寝泊(ねと)まりしながら炭を焼くのだと。若者はなぐさみに夜毎(よごと)笛を吹(ふ)いていた。

この昔話を聴く

雷様の手伝(かみなりさまのてつだい)

 むかし、あるところに一人の男があった。町へ行ってみると苗木(なえぎ)売りの爺(じ)さまがいたから、桃の木の苗木を一木買ってきて、裏(うら)の畑の端(はた)に植えたと。肥料(ひりょう)をやって、水もやり、早くおがれ、というてその夜は寝た。

この昔話を聴く

吉四六さんの柿 二題(きっちょむさんのかき にだい)

むかし、吉四六さんが裏の柿の下で薪割りをするためにマサカリを振り上げたら、枝の熟柿が頭に落ちてきたと。てっきりまさかりの刃が抜けて頭に落ちてきたと思うたもんじゃき、「うわぁ、大変じゃ。誰か来ちくりィ。ああ痛え、早う医者を呼んでくりい」と、大騒ぎだと。

この昔話を聴く

現在883話掲載中!