― 鹿児島県 ―
語り 井上 瑤
再話 田畑 英勝
整理・加筆 六渡 邦昭
昔は丹波(たんば)の一時餅(いっときもち)というのを食べると、すぐ馬になる、という諺(ことわざ)があった。
それにはこんな由来があるのだそうな。
昔、ある家にばくりょうが馬買いにやってきた。急の来客だったが、その家(や)の人が一時の間に餅をつくって食べさせたそうな。
すると、その餅とお茶とを食べたり飲んだりしているうちに、そのばくりょうが、なんと馬になってしまったそうな。
馬になって馬小屋の中に入ってしまったと。
そのばくりょうの帰りがあまりに遅いので、友達が捜しに来てみたら、この家の馬小屋にいる馬がばくりょうの変化(へんげ)した姿だと判った。
「これは不思議なことだ。
なんとか元に戻す方法はないものか。」
と思い、易者(えきしゃ)のところへ行って占ってもらった。
〽 丹波の国の一時餅よ
と言うて、鐘(かね)を叩いたところが、その返事は、神様が、
〽 それを食べると、じきに馬になるぞ
と言ったそうな。
〽 それが養生(ようじょう)はないか
と、その友達が聞いたところ、
〽 それが養生は、三月三日のふつぃだぐじゃ
と言うた。「ふつぃだぐ」とは蓬団子(よもぎだんご)のことだ。
それで三月三日にふつぃだぐを作って食べさせたところが、たちまち元どおりの人間になったと。
それで三月三日には必ずふつぃだぐを食べるのだそうな。
そしこんむかし。
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江差(えさし)の茂二郎(しげじろう)て人、あるとき、山さ行(え)たわけだ。 官林(かんりん)の山の木を盗伐(とうばつ)すると山役人にとがめられるども、わいろをつかまえさせると御免(ごめん)してもらうによいという評判(ひょうばん)であった。
「丹波の一時餅」のみんなの声
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