楽しい話ってわけでは無いが、民話や昔話は楽しいって先入観が有るから余程の話ではない限り楽しいする。木も生きてる…とすると何時かは命が尽きるって事よな…うん普通の事やね…いや、普通の事なら話にはならんわな。柳の木の精が人に化けたと?成程。
― 岩手県 ―
語り 井上 瑤
再話 佐々木 喜善
昔、盛岡(もりおか)の木伏(きぶし)に美(うつく)しい娘(むすめ)があったと。
毎日家の前の北上川(きたかみがわ)へ出て、勢(せい)よく伸(の)びた柳(やなぎ)の木の下で洗濯物(せんたくもの)をしていた。
あるとき、その娘がいつものとうり洗濯に出たまま行方(ゆくえ)がわからなくなったと。
家の人たちや村の人たちは、
「いったいぜんたい、どこへ隠(かく)れてしまったんじゃ。神隠(かみかく)しみたいだ」
と言いあいながら、方々(ほうぼう)をたずね歩いたけどどうしても探(さが)し出すことが出来なかったと。
ところが、二、三日経(た)ってから娘がその柳の木の幹(みき)にたくさんの枝々(えだえだ)で絡(から)まれて、しっかりと抱(だ)かれているのが見つかった。
村の人たちは娘を助(たす)けて家に連れ帰った。
そのあと娘は永(なが)らくぶらぶら病(やまい)にとりつかれて青い顔をしていたが、快(よ)くなってからこう言うた。
あの日の夕方、いつものように柳の木の下で洗濯をしていると、どこからか、見たことのない美しい男が来て抱きついて放(はな)さない。そのうちに何が何だか気が遠(とお)くなって、何とも知(し)らなくなった。
その後(のち)、柳の木は自然(しぜん)に枯(か)れて死んだ。
どっとはらい。
挿絵:福本隆男
楽しい話ってわけでは無いが、民話や昔話は楽しいって先入観が有るから余程の話ではない限り楽しいする。木も生きてる…とすると何時かは命が尽きるって事よな…うん普通の事やね…いや、普通の事なら話にはならんわな。柳の木の精が人に化けたと?成程。
むかし、ひとりの馬方(うまかた)が荷馬車をひいて、夕暮(ぐ)れ時の山道を村の方へ帰っていたと。 「いま時分は、ここいらへんは狸(たぬき)が化けて出るって聴(き)いとったんじゃが……」 と、用心しながら歩いていたら、案(あん)の定(じょう)、「もし、もし」と、優(やさ)しい声がかかった。
むがすあったずもな。あるどごに旅人(たびびと)がいて、歩いでいだら日が暮れだ。「野宿はしたくねぇし、今夜一晩(ひとばん)泊めて呉(け)るどご無(ね)がなぁ」っで言って、なおも歩いでいだら、うまいごどに一軒家(いっけんや)があったど。
昔、あるところに若い夫婦者(ふうふもの)が古猫とくらしておったそうな。 あるとき、 夫が山仕事に出掛けたあとで、炉端(ろばた)で居眠(いねむ)りしとった猫(ねこ)がムックリ起きて、大きな目でギロリとあたりを見廻(みまわ)してから、嫁(よめ)さんの側(そば)に寄って来たと。
「柳の美男」のみんなの声
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