兄万歳!、!、!、( 10歳未満 )
― 石川県 ―
語り 井上 瑤
再話 六渡 邦昭
昔、あるところに兄弟があったと。
兄は病気で目が見えなくなり、食べ物を探しに行けなくなったと。
弟は、一人で食べ物を探してきては、兄にいいところを食べさせ、自分はまずいところばかり食べていたと。
ある冬の寒い日、弟は食べ物を探しに山へ行ったと。
そしたら、わずかばかりの山芋(やまいも)が見つかった。冬のこととて、芋はしぼんで小さなものだったと。
弟は、山芋を煮(に)て、自分は芋の蔓首(つるくび)のところばかりを食べ、兄には美味(おい)しそうな芋を食べさせたと。
ところが兄は、
「こんなしなびた芋を食わせやがって。お前は俺が目が見えないことを良(い)いことに、自分はいいところばかり食って、おれにはこんなしなびたものしかくれない」
というて、弟を責めたと。
挿絵:福本隆男
弟は、
「そんなことはないよ。今は冬で、なかなか食べものを探すのもたいへんなんだ。春になったら、きっとうまいものを探してくるから、そんなことを言わないで、辛抱(しんぼう)しておくれよ」
というと、
「嘘つくな。お前は自分さえよこればいいやつだ」
というて、なおも責めたてたと。弟は、
「そんなに疑(うたが)うのなら、俺(おれ)の腹(はら)を断(た)ち割って見てみればいい」
というた。兄は、
「ようし」
というて、弟の腹を切り裂(さ)いたそうな。
そのとたんに、見えなかった兄の目がみえるようになったと。
見えるようになった目で、切り裂いた弟の腹の中を見ると、芋のヘタと芋のツルばかりであったと。
兄は弟を疑ったのを後悔したと。
「すまなかった。すまなかった。」
いうて、詫(わ)びたと。
泣いて泣いて、とうとう時鳥(ほととぎす)になったと。
それで時鳥は今でも、
「弟恋し、芋掘って食わそ、
弟恋し、芋掘って煮て食わそ」
と、毎日八千八声(はっせんはちこえ)ずつ啼(な)くのだと。そうして、もし、人がその途中で口まねをすると、例え、八千七声までいっても、また始めから八千八声啼き返さなければならないのだと。
挿絵:福本隆男
時鳥が木に止まっているときに見ると、口が赤いのも、この啼き過ぎのため、血を吐(は)いているからなんだと。
それきりちょうのなんば味噌(みそ) ぺろっとなめたら辛(から)かった。
兄万歳!、!、!、( 10歳未満 )
よく私の小さな頃、祖母から聞いていました オトギリ草の葉にその弟を切った血の模様が残っているんだよと聞いていました。( 50代 )
弟はちゃんと兄のために働いているのに、わざわざお腹を切るなんて(T-T)
弟は兄のために一生懸命なのに、、、 すごく悲しい
兄最低!
弟は兄のために一生懸命なのに、、、 すごく悲しい????
兄最低!
兄最低!
ホトトギスの声が聞こえたら、この話を思い出すだろうな。( 30代 / 女性 )
兄の目が悪くなったから、弟のわざわざお腹を切ったなんて、少しかわいそう。私にも妹がいます。( 10歳未満 / 女性 )
昔、津軽(つがる)の泉山村(いずみやまむら)に喜十郎(きじゅうろう)ちゅう百姓(しょう)いであったど。 秋になって、とり入れが終わったはで、十三町の地主のどごさ、年貢米(ねんぐまい)ば納(おさ)めに行ったど。
六月は梅雨(つゆ)の季節だが、昔からあんまり長雨が降ると嫌(きら)われるていうな。 昔、昔、あるところに親父(おやじ)と兄と弟があった。 兄と弟が、夜空を眺(なが)めていると、お星さまがいっぱい出ている。兄は弟に、 「あのお星さまな、あいつ、雨降(ふ)ってくる天の穴だ」というたと。
「時鳥の兄弟」のみんなの声
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