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さるとかえるのもちきょうそう
『サルとカエルの餅競争』

― 福島県 ―
再話 大島 廣志
語り 井上 瑤

 むかし
 サルとカエルがおって、餅搗(もちつ)いて食べまいかという相談をしたと。
 ペッタラ ペッタラ ペッタラコ
 ペッタラ ペッタラ ペッタラコ
 餅が搗き上がってみたら、あんまりうまそうなんで、サルはなんとかひとりじめしようと考えたんだと。

 
サルとカエルの餅競争挿絵:福本隆男

 「カエル、カエル、山の上さ臼(うす)持って行って、餅食うべ」
というたら、カエルは、
 「んじゃ、そうすんべ」
と承知したと。


 サルとカエルは、臼をかついで、ホイセ、ホイセと山の上さ持っていった。そうしたらサルは、こんど、
 「なあカエル。ここから谷底(たにそこ)へ臼をころばして、追っかけていって先に取ったもんが餅を食うことにしめえか」
というた。カエルはことわると、何されるかわからんから、
 「んじゃ、そうすんべ」
というてしまった。
 サルとカエルは山の上から臼をころばしたんだと。そうしたら、サルはしめたとばかり、一目散(いちもくさん)に山をかけおりた。カエルは、しょうねえから、臼にくっついた餅でもなめるべと思って、ペコンペコンと山をおりていったと。


 サルがやっと谷底へついて、臼の中をみると、餅はなんもなかった。
  <こりゃおかしい、臼の中に餅がないっちゃおかしい>
と、サルはもときた道をボックラボックラ登っていった。そしたら、途中の木の枝に餅がベッタリくっついていて、カエルがうまそうに餅を喰っていたと。カエルは、
 「これはおれの餅だから、だれにもやらねェ」
と、サルにいうた。
 「そういわねぇで、おれにもちょっとくろ」
 「いや、最初から、餅をひとりで食うべと思っていたやろ。そういうお前の根性(こんじょう)が悪いから、おれはやらねぇ」


 すると、サルが、
 「ああ、餅が下の方さ、たれさがって、落ちてしまうぞ。土つくから、下の方から食ったらよかんべ」
 「下の方から食おうが、上の方から食おうが、カエルの勝手(かって)じゃ。谷底さいって、臼にくっついている餅でもなめらっせ」
というて、カエルは、ひとりでうまそうに、餅をペロリと食うていたんだと。
 
サルとカエルの餅競争挿絵:福本隆男


 そんで、サルは餅をひとりじめしようと思うたが、ちっとも食えんかったんだと。
 
 ざっとむかし、すぎた。

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