ある意味、立派!(笑)( 50代 / 女性 )
― 福井県 ―
語り 井上 瑤
再話 六渡 邦昭
むかし、あるところに、とほうもない嘘つき爺がおったと。
爺の若い頃、近所の人が嫁さんを世話しようとしたら、相手の娘っこに、
「エ―あの人ぁ、そんなあ、うそでしょ、おらやんだぁ」
と言われたと。それからこっち、女房もなくずうっとひとりで暮らしておったと。
あんまり嘘ばっかりつくので、村の人達もあきれて、だんだん相手にしなくなったと。
だぁれも近づく者がいなくなると、嘘つき爺は、
「嘘袋(うそぶくろ)がサビつきそうだ。あぁあ嘘つきてえなぁ」
と、毎日、ブッツンコブッツンコつぶやいておったと。
あるとき、嘘つき爺が病気になって、とうとう死ぬばかりになったと。
が、だぁれも見舞ってくれるものがない。
そこで爺は、近所の衆や、親せきの者たちを集めて
「おらは、まもなく死んでいくだ。皆の衆には世話になったで、小遣いをためた金が庭の柿の木の下さ埋めてあるのじゃ。それ、皆(みんな)で分けてくろ。それにしても、死ぬ前に熱い粥(かゆ)の一杯(いっぺエ)も食(く)いてえなぁ」
と言ったと。
これを聞いた村の衆と親せきの衆は、
「死ぬ際(きわ)まで、まさか嘘はこくめえ」
と、いろいろ介抱(かいほう)してやったと。
嘘つき爺は熱い粥を腹いっぱい食べて死んでいったと。
野辺送りもしてやってから、みんなは庭の柿の木の下を掘ったと。そしたら爺の言葉通りに小さい箱が出てきたと。
「ちょっくら開(あ)けてみなんし」
みんなは、ワクワクしてそのふたを取ってのぞきこんだと。
そしたら、何とまあ呆れたことか
――うそのつきじめえ――
と書いた紙切れが入れてあったと。
そうらいべったり貝の糞
かち栗数えてへんころへんころ
ある意味、立派!(笑)( 50代 / 女性 )
嘘つき爺は、どこまでも嘘つきだなと思いました。
むかし、あるところに、三人の息子を持った分限者がおったと。あるとき、分限者は三人の息子を呼んで、それぞれに百両の金を持たせ、「お前たちは、これを元手にどんな商いでもええがらして来い。一年経ったらば戻って、三つある倉の内をいっぱいにしてみせろ。一番いいものをどっさり詰めた者に、この家の家督をゆずる」
昔、あるところに親子三人がひっそり暮らしておったと。おとっつぁんは病気で長わずらいの末とうとう死んでしまったと。おっかさんと息子が後にのこり、花をつんで売ったりたきぎを切って売ってはその日その日をおくるようになったと。
「最後のうそ」のみんなの声
〜あなたの感想をお寄せください〜