民話の部屋 民話の部屋
  1. 民話の部屋
  2. 狐が登場する昔話
  3. 狐の玉

※再生ボタンを押してから開始まで時間がかかる場合があります。

きつねのたま
『狐の玉』

― 福井県 ―
語り 井上 瑤
再話 六渡 邦昭

 むかし、ある寺に、かしこい小僧がおってな、山の狐穴(きつねあな)から、"狐の玉"を拾(ひろ)ってきたそうな。
 その玉が無いと、狐は人をだませんのだと。
 小僧は、自分のつづらにこの玉を入れ、大事にかくしておった。
 ある日、小僧が和尚(おしょう)さんの用事で出かけて行ったら、その間にお婆さんが訪ねてきて、
 「わしは小僧の親や。小僧が、汚(よご)れものがあるので洗濯(せんたく)してくれ、言うて、出かけに寄(よ)ったんで、あの子のつづらを見せておくれ」
と、言うんだと。

 
 和尚さんがつづらを出したら、お婆さんは玉を見つけ、洗濯物の中へちょいとかくして持って行ってしまった。
 やがて小僧が戻ってきたら、和尚さんが、
 「おっ母さんが、お前の洗濯物を持って帰ったで」
と、言う。
 「そりゃ大変ゃ。そんなもん頼(たの)んだ覚(おぼ)えない。狐や」
 あわててつづらを見たら、狐の玉が無いんだと。 
 「玉が無いのに化けてくるとは。狐のやつめ、狸に頼んで化けの皮でも貸してもろたんかしらん。いや、わしも頭を使わんならん」
 しばらく考えてから小僧は、稲荷大明神(いなりだいみょうじん)のところへ行って、神主(かんぬし)さんが祝詞(のりと)をあげる時(とき)に着る装束(しょうぞく)を借り、身につけて、山の狐穴のところへ行くんだと。


 「こら、穴の狐。おるか」
 「へぇ-」
 狐は稲荷さんが大将(たいしょう)だから、はいつくばるのも当り前のコンコンチキ。
 「わしは稲荷じゃが、お前は大事な玉を寺の小僧にとられたそうじゃな。本当か」
 「いやあ、そんなもん、とられやしません」
 「いや、とられたそうな。ふとどきなやつじゃ」
 「いやあ、とられやしません」
 「そんなら、その玉を見せてみい」
 「へへぇ」
 狐は、穴の奥から玉を出してきたそうな。 
 「あっ、これや」
 稲荷さんに化けた小僧は、ぱっと玉を盗って、山をどんどんかけ下りて行ってしまったそうな。

 そろけんどっぽ、はいだわら。

「狐の玉」のみんなの声

〜あなたの感想をお寄せください〜

驚き

狐と小僧の化かし合い。似た話が違う地方でも見た。( 40代 / 女性 )

こんなおはなしも聴いてみませんか?

ひとスリ違い(ひとすりちがい)

むかし、むかし。 豊後の国、今の大分県大野郡野津町(おおたいけんおおのぐんのづまち)大字野津市(おおあざのづいち)というところに、吉四六(きっちょむ)さんという、頓知(とんち)の効いた面白(おもしろ)い男がおった。

この昔話を聴く

五平の鉄砲(ごへいのてっぽう)

 むかし、土佐藩(はん)のお抱(かか)え鉄砲鍛冶(てっぽうかじ)に五平という人がおったそうな。  五平の鉄砲は丈夫(じょうぶ)な作りと重量感で、今でもよう知られちょる。  ところで北川村の島という所に、その五平の作った鉄砲を持った猟師(りょうし)が住んじょった。

この昔話を聴く

金の斧 銀の斧(きんのおの ぎんのおの)

むかし、あるところに、正直な木樵(きこり)がおって、毎日、山の中で木を伐(き)って暮らしておったそうな。ある日、池の側の森で木を伐っていたら・・・

この昔話を聴く

現在882話掲載中!