民話の部屋 民話の部屋
  1. 民話の部屋
  2. 現代の怪談ばなし
  3. ゆうれい井戸

※再生ボタンを押してから開始まで時間がかかる場合があります。

ゆうれいいど
『ゆうれい井戸』

― 千葉県 ―
再話 六渡 邦昭
語り 井上 瑤

 むかし、と言ってもそんなに古いことではない。君が小学生なら、君のお爺さんお婆さんにあたるお人が、まだ子供時代のころだ。
 その頃日本は戦争をしていて、あちこちに連隊(れんたい)の駐屯地(ちゅうとんち)といって、兵隊(へいたい)がたくさん集まっているところがあった。
 千葉県のある連隊にひとりの兵隊がやってきた。
 その兵隊は、美しい娘と結婚の約束をしたばかりだった。


 あるとき、その兵隊に連隊駐屯地の見張(みはり)り番がまわってきた。
 兵隊は、娘に、夜になったら見張り番の場所に忍んでくるように連絡をした。そこなら、誰にも見つからないで会うことが出来る。
 兵隊は見張り番をしながら、娘のあらわれるのを待った。
 
ゆうれい井戸挿絵:福本隆男


 今来るか、今来るかと待ったが、いくら待っても娘はあらわれない。
 そのうちに見張り番の交代(こうたい)のときがきてしまった。兵隊は、
 「またいつか会えるだろう」
と、つぶやいて、しかたなく宿舎へ戻って行った。
 それから少しして、娘がその場所へやって来た。実は、娘に急の用事ができて、約束の時間に来れなかったのだった。
 夜中のことだし、兵隊は皆同じ服を着ているから、見張り番が交代したことなど、娘にはわかりようもない。
 娘は建物(たてもの)の陰(かげ)から、そおっと婚約者(こんやくしゃ)の名前を呼んだ。


 そうしたら
 「誰かあ」
という大きな声が返ってきた。
 娘は恥ずかしくて、すぐには返事ができなかった。すると続けて、
 「誰かあ、そこにいるのは誰かあ」
と見張り番の兵隊が叫(さけ)んだ。
 こんどは婚約者の兵隊がふざけているのだと思って、返事をしなかった。そして建物の陰からそおっと顔を出した。

 
ゆうれい井戸挿絵:福本隆男

 ズトーン
 見張り番の兵隊は、いきなり鉄砲(てっぽう)をうった。


 軍隊では三度誰何(さんどすいか)しても返事のないときには撃(う)ち殺してもよいということになっていたのだった。
 殺された娘は、古い井戸の中へ投げこまれたと。
 それからというもの、夜になると、古い井戸の中から女の幽霊(ゆうれい)が出るようになったそうな。
 
 おしまい。

「ゆうれい井戸」のみんなの声

〜あなたの感想をお寄せください〜

怖い

かわいそう( 10歳未満 / 男性 )

怖い

ゆうれいいどのおはなしがっとてもこわっかたです

怖い

ゆうれいがとってもこわい

もっと表示する
悲しい

死んじゃて悲しい。( 10歳未満 / 男性 )

悲しい

死んだのがかなしい。 ( 10歳未満 / 男性 )

悲しい

かなしい ( 10歳未満 )

怖い

幽霊いどで打たれたとこが怖かったです( 10歳未満 / 男性 )

怖い

怖いと感じました( 男性 )

悲しい

悲しい

悲しい

悲しい話だった

こんなおはなしも聴いてみませんか?

鳶不幸(とんびふこう)

むかし、あるところに、とんびの親子がおったそうな。子とんびはヘソ曲りの子であったと。親が、「山へ行け」と、言えば海へ行き、「海へ行け」と、言えば山へ…

この昔話を聴く

ふしぎな手拭(ふしぎなてぬぐい)

とんと昔、ある村の一番大きな金持ちの家へ、ある日、ひとりのみすぼらしいなりをしたお遍路さんがやって来たそうな。門口に立って、御詠歌を歌い、何がしかの寄進を乞うたと。すると、そこの奥さんは、「このせわしいときに、お前なんぞにとりあっていられん。さあ、とっとと出て行き」と言うて、邪険に追い追い払ってしもうた。

この昔話を聴く

臼売ったもん(うすうったもん)

むかし、あるところにひとりの商人(あきんど)がおった。あるとき商人は、兵庫(ひょうご)の淡路島(あわじしま)へ行ったと。一通り仕事も終え、船着場(ふ…

この昔話を聴く

現在884話掲載中!