民話の部屋 民話の部屋
  1. 民話の部屋
  2. 面白い人・面白い村にまつわる昔話
  3. 五文の話

※再生ボタンを押してから開始まで時間がかかる場合があります。

ごもんのはなし
『五文の話』

― 秋田県男鹿市戸賀 ―
語り 井上 瑤
話者 三浦 さくら
採集・再話 今村 泰子

 むかし、あるところに話の好きな婆(ばんば)さまいたと。

 あるとき、
 「飽(あ)きるまで話聞かせてける人、いねぇべか。聞かへた者さ五文くれてやる」
て、いったと。
 ある人、婆の家さ行って、
 「飽きるまで話聞かへるども、必ず五文呉(け)るのか」
て、いうわけだ。

 「ああ、呉る。早く聞かへれよ」
 「ンだか、へば、聞かへる」
とて、


 「そろり、そろりと、あきしない。窓(まど)から顔(つら)など伸(の)べしない」
 こういって、何遍(なんべん)も繰(く)り返すわけだ。
 婆、
 「それからよ」
て、言っても、また、
 「そろり、そろりと、あきしない。窓から顔など伸べしない」
て、一晩(ひとばん)繰り返すわけだ。
 五文の話挿絵:福本隆男

 
とうとう婆、
 「ああ、飽(あ)きた、飽きた。もう戻(もど)ってけれ、戻ってけれ」
て、いったば、
 「婆、約束(やくそく)だ、五文けれ」
 「ああ、呉てやる、呉てやる」
とて、五文呉てやったと。

 婆、
 「何と高けぇ話だ。金かかった話だもんだ」
と、思って、
 「そろり、そろりと、あきしない」
て、ぶつぶつ一人でしゃべっていたと。
 そこさ、盗人(ぬすっと)はいってきたと。したら、
 「そろり、そろりと、あきしない」
て聞こえるわけだ。

 
「なんと婆、まだ起きてたか」
て、耳立てると、
 「窓から顔(つら)など伸べしない」
て、聞こえてきたわけだ。したら盗人、
 「おや、わかってしまったか」
とて、逃(に)げて行ってしまったと。
 
 とっぴん ぱらりのぷう。

「五文の話」のみんなの声

〜あなたの感想をお寄せください〜

一番に感想を投稿してみませんか?

民話の部屋ではみなさんのご感想をお待ちしております。

「感想を投稿する!」ボタンをクリックして

さっそく投稿してみましょう!

こんなおはなしも聴いてみませんか?

瓜姫(うりひめ)

 むかし、むかし。  あるところに爺と婆があったそうな。  爺は山へ芝刈りに、婆は川へ洗濯に行ったと。  婆が川で洗濯をしていたら、  〽 ドンブリコ ドンブリコ    バアサン オクニチ トンビロ って、瓜(うり)が流れてきたそうな。

この昔話を聴く

くじら長者(くじらちょうじゃ)

長崎県西海市の松島は西彼杵半島の西一キロメートル沖、五島灘に浮かぶ島で、江戸時代には捕鯨が盛んな島だった。この松島に与五郎という肝の太っとい鯨捕りが住んでおったと。与五郎は毎日、「どうかして、鯨がたくさん捕れる方法はないものか」と考えておったと。

この昔話を聴く

米問屋の御礼(こめどんやのおんれい)

むかし、むかし。ある海辺に爺さんと婆さんと、息子と嫁とがひとつ家(いえ)で暮らしておったと。爺さんと息子は沖に出て魚を獲(と)り、婆さんと嫁は機(は…

この昔話を聴く

現在880話掲載中!