うちにも赤べこが来ないかなぁっと思いました。( 10歳未満 / 女性 )
                                ― 山形県 ―
                                
                                                                                                                                                        語り 井上 瑤
                                                                                                                                                                                                                                            再話 六渡 邦昭
                                                                                                                                                                                                                                                                    
                            
                             むかし、ある家に嫁さんがあった。
 年取りの晩に、姑(しゅうとめ)さんから、
 「あすの朝まで囲炉裏(いろり)の火を消さないように」
といわれて、寝ないで火の番をしていたと。
 ポカポカぬくいし、ついとろとろっと居眠りしたら、火が消えてしまった。
 「こりゃおおごとだぁ。なんとか、どこかから火をもらわなくてはなんね」
というて、外へ出た。
 誰か提灯(ちょうちん)つけて来ないかと思うて上下みていたら、ノッソリ、ノッソリと赤牛(あかべこ)がやって来た。目の前を歩いていくので、
 「これこれ、お前(め)、どこの赤牛だ」
 って、からだをポンポンとたたいたら、何やらドサーッと置いて行った。
                            
                
 真夜中じゅう外に立っていたけど、とうとう提灯つけた人は通らなかったと。
 朝になって、姑さまに詫(わ)びたと。
 「火コもうらべと思って表に立って待っていたけど誰も通らねがった。赤牛だけが通ったので、お前どこの赤牛だって、背中をポンポンたたいたら、何だかここさ置いていった。表さまだあるから、かかさん見て呉(け)らっしゃい」
 っていうたら、姑さん表へ行って見たれば、俵(たわら)がひとつあった。開けてみたら、金(かね)がどっさり入っていたと。
 こういうことがあるから、年取りの晩は、歳徳神(としとくがみ)さまさ有り金全部供えて赤牛を待つ、ということで、早く寝ねぇで夜ふかししたもんだ。
 どっぴんからりん すっからりん。
        
                            
うちにも赤べこが来ないかなぁっと思いました。( 10歳未満 / 女性 )
昔、あるお寺に一人の和尚がいた。あまり裕福でもないので小坊主も置けないから、一匹の蛇をあずかって置いた。いつも外出するときには、蛇に今出て行くと告げるし、帰って来れば、また帰ったと言う
昔、山奥(おく)に二匹(ひき)の夫婦狐(めおとぎつね)が棲(す)んでいたと。 ある日、夫狐が、 「毎日毎日、同じものばかり食べているのは面白うないなぁ。一度でいいから、人間が食べていた小豆飯(あずきめし)を食うてみたいものだな」 というたら、女房(にょうぼう)狐も…
「大歳の火」のみんなの声
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