宮城県出身だから、いいたいことわかった( 10代 / 女性 )
― 宮城県 ―
語り 井上 瑤
再話 佐々木 徳夫
むがす、むがす、あっどごに貧乏(びんぼう)だったげんども、正直で働(はたら)き者の百姓(ひゃくしょう)がいたど。
八十八夜(はちじゅうはちや)様が来(く)っと、何がなくても餅(もち)を搗(つ)いて神さんさ上げて、豊作(ほうさく)を祈願(きがん)してたど。
ところが、ある年のこと、不作(ふさく)で飯(めし)の米にもこと欠(か)くようで、八十八夜様がやって来ても、餅搗いて上げようもなかったんで、隣近所(となりきんじょ)さご無心(むしん)して、やっと餅を搗いて上げることができたど。
その晩(ばん)げ、神さんが夢枕(ゆめまくら)さ立って、
「これこれ、百姓、お前は何事も一所懸命(いっしょけんめい)だから、七つ蔵(くら)のうち一つの蔵を取らせるぞ」
て言うんで、はっと思って目を覚まして見たげんども、何もなかったど。
ところが次の日、ぼっこり殿(との)さんのお呼び出しを受けたど。
「何のお咎(とが)めだべ」
と思って、おっかなびっくりお城さ行ってみたら、殿さんがお出になって、
「これ百姓、ここに七つの蔵がある。第一の蔵には米、第二の蔵には金(きん)、第三の蔵には藁(わら)、第四の蔵には刀、残りの蔵も金目(かねめ)の物が入ってるが、どれなり一つの蔵を選ぶがよい」
て言ったど。
百姓はゆんべな(昨晩)の夢を思い出して、
「おらぁ、百姓でがす。百姓には藁が一番でがす。藁を戴(いただ)きす」
て言ったど。
ほうして藁を戴くことにして家(え)さ帰(け)ったど。
その晩げ、百姓がぐっすり寝込んでたら、神さんがまた夢枕さ立って、
「これ、百姓。向こうに見える山の蔭(かげ)に禿(は)げ山がある。その山さ行って、殿さんから貰(もら)った藁を燃(も)やすがよい」
て言って、パッと消えたど。
次の日、百姓はお城から禿げ山まで藁を運んで、拝(おが)みながら藁を燃やしたど。
それからまた一年たって、八十八夜様がやってきたど。
百姓はいつものように餅を搗いて神さんさ上げたど。
次の日、百姓が禿げ山さ行って見たら、山一面に蕨(わらび)がおがってたど。
金や米だと、使ったり食ったりすっと無くなるげんども、蕨は毎年おがってくるんで、その蕨を売って、大金持ちになったどしゃ。
こんで めでたし めでたし。
宮城県出身だから、いいたいことわかった( 10代 / 女性 )
この話は、「宮城のむかし話」(日本標準)の最初に出てくるお話ですが、話者は私の母の高橋ちさとです。子どもの時に母から直接聞いた時のことを思い出し、楽しく心が暖かくなりました。民話はいいですね。 ( 60代 / 男性 )
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