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へうりじいさ
『屁売りじいさ』

― 石川県 ―
語り 井上 瑤
再話 六渡 邦昭

 むかしむかし、おじじとおばばが、自分の家の便所の屋根ふきしていたら、屋根ふきワラの中に、稲の穂(ほ)が一本まじってあったと。
 それを見つけたおじじは、
 「おばば、この稲の穂をこのままほうっておくのはもったいない。この穂を家へ持って帰って炒粉(いりこ)にしようかの」
というた。おばばは、
 「はえ、はえ」
というて、その稲の穂一本を家へ持ち帰り、炒鍋(いりなべ)で炒(い)って、石臼(いしうす)で挽(ひ)いて炒粉を作ったと。


 二人でその炒粉をなめていたら、おじじの腹がムズムズしてきた。そして、
 〽 ぶいすここい ぶいすここい
  じいじの宝のチーンチョチンチョ

 という面白い屁が出たと。
 「こりゃ面白い屁だ、も一ぺんこいてみよか」
というて、気張(きば)ったら、

 〽 粟(あわ)がら稗(ひえ)がらスッポンポン
  こごめのザラザラ ペンペンペン

 と鳴った。おじじは、
 「こりゃ変わった屁じゃ。おばばや、俺、この屁を町へ行って売って来るわい」
というて町へ売りに行ったと。

 
 「屁やー、屁やー、屁売りのじいじが来たぞいやー」
というて歩くと、町の人が面白がって、
 「ひとつ買いましょう」
というた。おじじは、
 「こんな道端(みちばた)ではこかれん。座敷(ざしき)へ上がらにゃ」
というて、座敷へ上がって、坐(すわ)り直して気張ったと。そしたら、

 〽 ぶいすここい ぶいすここい
  じいじの宝のチーンチョチンチョ

 と鳴った。
 町の人が何人も集まって来て、手を叩いたと。
 おじじも面白うなってきて、もうひとつこいた。

 〽 粟がら稗がらスッポンポン
  こごめのザクザク ペンペンペン

 と鳴ったから、町の人達は、次々と銭(ぜに)を投げてくれた。
おじじ、ふところに一杯銭入れて、ほくほく顔で家へ戻ってきたと。

 それきりぶっつりかんなます。

「屁売りじいさ」のみんなの声

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