「あずきまんま」が出てくる話しでは、アニメで観たのですが「キジも鳴かずば」という悲しいお話もありました。 昔は飢饉も多く、人々はいつも飢えの恐怖と闘っていたのだと思うと、このお話も残酷というより悲しくて仕方ありません。( 50代 / 女性 )
― 秋田県 ―
語り 井上 瑤
語り(原) 熊谷 堅次郎
採集 今村 泰子
整理 六渡 邦昭
むがし、隣り合った二軒の家あったども。
一軒の家は金持ちで、もう一軒の方はとっても貧乏だったなや。
そえで、仲悪りぐて、いっつも喧嘩ばかりしてえだけど。
ンだども、両方の家さ同じ位(くれ)えの子供居でナ、親達(おやだち)とは反対にとっても仲良ぐてナ、いつも遊びに行き来していたけどへエ。(とさ)
挿絵:福本隆男
あっどき(或時)、金持ちの家の倉から小豆(あずき)一俵なぐなったけどヘエ。(とさ)
そえで そこな家の親父、ハアてっきり隣の貧乏な家で盗っだなだ、と思って、ちょうど遊びに来た三つになる隣の子供をつかめぇで、
「健坊、今朝(けさ)何食ってきたけぇ」
と聞いだば、健坊、
「赤(あけ)ぇ飯(まんま)食ってきた」
と、言うなだけどヘエ。
次の日、また聞いたら、やっぱし、
「赤ぇ飯、食ってきた」
と、言うけどヘエ。
「そうれみれ。なんぼ親が知らねぇど言ったて、子供は正直だ。昨日も今日も、赤ぇ飯食ってきたと言う。あの貧乏家、どっからも小豆など出せるめぇし、やっぱし小豆盗っだなだ。小豆泥棒だ」
どて、隣の家さ どなりこんで行ったけどヘエ。
どなりこまれだ貧乏な家でぁ、憶(おぼ)ぇの無(ね)え事因念づけられえで泥棒呼ばりされるもんだから、大(たえ)した怒ったけど。
そこさ 健坊、ひょこっと出て来たけどヘエ。
悪い事に、金持ちの家の親父、健坊さ、
「今朝、なに食ったけぇ」
とニヤニヤしながら聞いたば、健坊、 罪(つみ)の無ぇ顔して、
「赤ぇ飯 食った」
て、言うなだけどヘエ。
したら、健坊の親父、
「どこさ赤ぇ飯 食わしぇだて、この餓鬼」
どて、出刃包丁持て来て、我が子の健坊の腹切りしやいだけどヘエ。
したば、腹ん中から、まだ食ったばかりのこげめし出てきたけどヘエ。
健坊、こげまんま好ぎで、いっつも こげまんま握ってもらって、それを赤ぇ飯だどて喜んで食ってだなだけど。
昔の人達でいうなあひでぇもんで、名誉のためなば、子供でも殺す程だったわけだ。
因縁つけた金持ちの家でぁ罪の無ぇ子供を殺さしてしまたどて、なんべんも謝り、その子供のために、自分の屋敷内に立派なお宮を建でで、冥福祈ったけど。
その神様どこ三光様(さんこうさま)と言って、子供の死で両方の家どこ仲良ぐさしたもんだがら、縁結びの神様、子供の病気を治す神様どして、近郷近在から、参詣人(さんけんにん)絶(た)え無(ね)ぇがったどセェ
とっぴんぱらりのぷう。
「あずきまんま」が出てくる話しでは、アニメで観たのですが「キジも鳴かずば」という悲しいお話もありました。 昔は飢饉も多く、人々はいつも飢えの恐怖と闘っていたのだと思うと、このお話も残酷というより悲しくて仕方ありません。( 50代 / 女性 )
悲しいお話ですね。でものちに仲良しになれたんだからよかった。( 50代 / 男性 )
むかし、むかし。ある国にとても厳しいきまりがあったと。六十歳になった年寄りは、山へ捨てに行かなければならないのだと。その国のある村に、ひとりの親孝行な息子がおった。母親が六十歳になったと
「赤飯と子供」のみんなの声
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