鼠の嫁入りと似た話やのう。犬はポチで猫はタマじゃ。
― 山口県 ―
語り 井上 瑤
再話 宮本 常一
整理・加筆 六渡 邦昭
むかし、むかし、あるところに爺(じい)と婆(ばあ)があったと。
爺と婆は二人暮(ふたりぐ)らしでさびしいから、猫(ねこ)を一匹(いっぴき)もろうてきて飼(こ)うていたと。
しかし、その猫には名前(なまえ)がついてなかった。何とつけたらいいかと、爺と婆がある日コタツの中で相談(そうだん)したと。
婆が、
「爺、爺。猫つうものは、犬(いぬ)とよう喧嘩(けんか)して負(ま)けるけえ、犬とつけたらよかろう」
と言うた。すると爺が、
「わしが考(かんが)えてみるのに、犬よりは虎(とら)の方が強(つよ)いけえ、虎をつけた方がええと思う」
と言うた。
「それもいいが、虎に負けんもんに竜(りゅう)がいる。竜は雲(くも)に乗(の)って天(てん)へのぼることが出来る。虎よりは竜の方がええと思うが、どうじゃろう」
「なんの、なんの。まあまてまて。なるほど竜は強いが、竜は一人で天へのぼることが出来るかの」
「そりゃ雲が無(な)けりゃ天へはあがられんよ」
「そんなら雲の方がえらいけえ、雲とつけようか」
「でも、雲は風(かぜ)に吹(ふ)き飛(と)ばされるけえ、雲よりは風の方がええ」
爺さんなるほどと思うた。
思うたところへ風がぷうぷう吹いてきて寒(さむ)いから、
「婆、障子(しょうじ)をしめえ」
と言うと、婆は立って障子をしめてきたと。
障子をしめたら風が入らなくなって温(ぬく)うなってきた。そしたら、爺が、背中(せなか)をまあるくしてコタツにあたりながら、
「やれ風よりは障子の方がええわい。猫の名前は障子がええ」
と言うた。猫もうれしそうにニャンゴロロンと啼(な)いていたが、そのうちに障子を破(やぶ)ってコタツの中に這入(はい)って来た。
それを見た婆が、
「爺、爺。障子よりはやっぱり猫がえらいわいの。猫の名は三毛(みけ)でよかろう」
と言うたと。
年よりの分別(ふんべつ)つうもなぁ(というものは)、それくらいのもんよ。
申(もう)すばっかり猿(さる)のつべはきっかり。
鼠の嫁入りと似た話やのう。犬はポチで猫はタマじゃ。
むかし、あるところに一人の男があった。町へ行ってみると苗木(なえぎ)売りの爺(じ)さまがいたから、桃の木の苗木を一木買ってきて、裏(うら)の畑の端(はた)に植えたと。肥料(ひりょう)をやって、水もやり、早くおがれ、というてその夜は寝た。
むかしむかし、 あるところに爺(じい)さんと婆(ばあ)さんがいだど。 爺さんは七十五、婆さんは七十で、どっちも、目もはっきりしていたし、歯も、漬物ぱりぱりと食っていで、まだまだ達者だったど。
昔々、小さなお城があったと。そのお城に、それはそれは美しいお姫様があったと。夜更になると、毎晩、立派な若侍が遊びに来たと。お姫様のおつきの者は、どうも怪しいと、はかまの裾に針を刺しておいたと。すると若侍は、その針が刺さって血をたらしながら帰って行った。
「猫の名」のみんなの声
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