民話の部屋 民話の部屋
  1. 民話の部屋
  2. 世間話にまつわる昔話
  3. 七草

※再生ボタンを押してから開始まで時間がかかる場合があります。

ななくさ
『七草』

― 山形県 ―
語り 井上 瑤
再話 六渡 邦昭

 正月七日には七草粥(ななくさがゆ)を食べるもんだけド。
 むかし、ある人が、なんだかみんな年取っていくのが不思議で、どうしてだべて考えだれば、
 夜、枕神(まくらがみ)立って、
 唐(から)の国から、大和(やまと)の国から、鳥飛んできて、栄養のあるものを皆食ってしまうからだ。
 んだから、はいつ(そいつ)食われねうちに、こっちの方で食ってしまわんなんね。
 栄養のあるもんって何だかていうど、七草だ。春の七草。
 せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな、すずしろ。

 
 こいつば皆、唐土の鳥と大和の鳥とか飛来(こ)ねうちにハア、叩(たた)いて食うてしまう。んだと年取らね。
 っていうたど。
 ほれからは、どこの家でも六日に準備して、七日に“なんなん叩き”ていうのをやったもんだ。

 〽 なんなん七草
  唐土の鳥と大和の鳥の
  渡らぬうちに
  なんなん叩き
  七(なな)たたき

 ってこういう風に唱(とな)えで、擂粉木棒(すりこぎぼう)で七草を叩いて、七草粥っていうて、お粥(かゆ)にして食べた。
 ほうすっど栄養もよかったとみえて、それ以来どこの家でも「七草粥」と「七草たたき」っていうの聞かったもんだけど。

 どんぴんからりん すっからりん。

「七草」のみんなの声

〜あなたの感想をお寄せください〜

一番に感想を投稿してみませんか?

民話の部屋ではみなさんのご感想をお待ちしております。

「感想を投稿する!」ボタンをクリックして

さっそく投稿してみましょう!

こんなおはなしも聴いてみませんか?

キツネの嫁ご(きつねのよめご)

むかし、あるところに一人の若者がおったと。若者は畑仕事のあいまに駄賃(だちん)働きするほどの働き者だったと。ある日、若者が駄賃働きで隣(となり)村へ…

この昔話を聴く

宝の瓢箪(たからのひょうたん)

昔、あるところに貧乏(びんぼう)な正直爺(じい)がおったと。その日、その日をどうにかしのいでおったが、一度ぐらい福運(ふくうん)が向いて来ないかなあ…

この昔話を聴く

どくれの万六(どくれのまんろく)

 むかし、土佐(とさ)の窪川(くぼかわ)に万六という男がおった。地主の旦那(だんな)の家で働く作男(さくおとこ)だったが、お城(じょう)下から西では誰(だれ)ひとり知らぬ者がないほどのどくれであったと。

この昔話を聴く

現在886話掲載中!