こんにゃくが化けるなんて思いもしかなかった (旅のお坊さんがこんにゃくだったなんて思わなかった(^o^)www( 10歳未満 / 女性 )
― 和歌山県 ―
語り 井上 瑤
再話 和田 寛
むかし、山の中に古寺(ふるでら)があって、和尚さんがたった一人で住んでおった。
ある夜、表の戸がトントンと叩かれるので、和尚さんが出てみると、一人の旅の坊さんが立っておった。
「今夜、一晩泊めて下さらんか」
「こんなところでよければ、いつまででもどうぞ」
和尚さんが、さっそく風呂を沸(わ)かしてやると、旅の坊さんは妙なことをたずねた。
「ここの風呂には、灰が入っていないだろうね」
「入っとらんよ、きれいなもんだ」
と答えると、旅の坊さんは喜んで風呂に入ったと。
「ああ、ええ風呂じゃった。こんな風呂なら何度でも入りたい」
と、上機嫌(じょうきげん)で言うた。
「そんなら、何度でも入りなされ。ここはわし一人じゃから、何の遠慮(えんりょ)もいらんよ」
と、言うてやったんだと。
次の日の朝、旅の坊さんはまだ暗いうちに身ごしらえして、
「ちょっと※托鉢(たくはつ)にまわってくるでな」
と言って出て行った。
その夜も、旅の坊さんが山寺にやって来た。
「今夜も泊めてくだされや」
和尚さんは、この夜もこころよく泊めてやったんだと。
旅の坊さんは、お経も上手だし、話もけっこう面白い。たったひとつ変ったところは、風呂に入る時、必ず、
「今夜も風呂に灰が入っていないだろうね」
と、念を押す事だったと。
旅の坊さんは、それからも毎日毎日、朝暗いうちに出て行って、夜暗くなってから帰って来た。そして、あいかわらず風呂に入る時、灰が入っていないか聞いたんだと。
ある晩、和尚さんはいたずらっ気をおこして、風呂の中にこっそり灰を入れておいた。
旅の坊さんは、いつものように、
「風呂に灰は入っていないだろうね」
と聞いた。和尚さんは、
「今まで、そんなものが入っていたことがあったかね」
と、言ったんだと。
※托鉢…生活に必要な最低限の食糧などを乞い、人に恵みの心をもたらせてあげる修行。
その夜、旅の坊さんは、風呂に入ったきりいつまでたっても上がって来ない。
和尚さんが風呂をのぞいてみると、旅の坊さんの姿はどこにもなく、かわりに大きな大きなこんにゃく玉がひとつ浮かんでいたんだと。
そこで、風呂にフタをして、その上に大きな石をのせて、下から火をどんどん焚(た)いた。
湯がくたくた、くたくた沸いたので、もうよかろうとフタをとると、風呂の中には、こんにゃくがいっぱい出来とった。
こんにゃくは、こんにゃく玉と灰とを一緒にして、コトコト煮立てて固まらせて作るんだと。
寺の裏に作ってあるこんにゃく玉が、夜暗くなってから畑を抜け出し、旅の坊さんに化けとったんだと。
こんにゃく玉でも、何年もたって古うなると、人間に化けて、お経も唱えられるようになるんだと。
ああ恐ろしや。
こんにゃくが化けるなんて思いもしかなかった (旅のお坊さんがこんにゃくだったなんて思わなかった(^o^)www( 10歳未満 / 女性 )
怖くはなかった。和尚さんの出てくる話はどれもおもしろい。( 10代 )
怖かったけどおもしろかったです( 10代 )
むかし、むかし、日向の国、今の宮崎県日南市飫肥の報恩寺というお寺に、“とくぞす”という知恵者の小僧どんがおったっと。 ある日のこと、寺の和尚さんから、 「よい、とくぞす、お前すまんが、清武の庄屋どんかたまで使いに行ってくれ」 と、頼まれた。
「こんにゃくの貰い風呂」のみんなの声
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