民話の部屋 民話の部屋
  1. 民話の部屋
  2. 言葉の聞き違い・言葉遊びにまつわる昔話
  3. 和尚と小僧話(食った食わん)

※再生ボタンを押してから開始まで時間がかかる場合があります。

おしょうとこぞうばなし くったくわん
『和尚と小僧話(食った食わん)』

― 鳥取県東伯郡 ―
語り 井上 瑤
話者 岡田 幹子
再話 六渡 邦昭

 むかし、あるところに大きな寺がありましたと。
 その寺では、なにかと事(こと)のあるときに、いつでもご馳走(ちそう)が檀家(だんか)から持ってこられて、仏(ほとけ)さんに供(そな)えられていましたと。


 その日も、とってもおいしそうな小豆(あずき)入りのアンコロ餅(もち)が仏さんに供えてあったそうな。

  和尚(おしょう)さんが、
 「小僧(こぞう)や、小僧や。こんなは(これは)、わしが戻ってから食べるけな、そのままにしとけいよ」
と言っといて出られた。ところが、和尚さんが帰ってみるとアンコロ餅がない。


 「ありゃ、食べずにおいとけって言ったに、小僧、お前食べてしまったな」
 「食べりゃしませんぜ。本尊(ほんぞん)さんが食べられましたで」
 「本尊さんが食べられるっちゅうことがあるもんか」
 「でも、本尊さんの口の縁(へり)に、いっぱいアンコがついとりますわ」
 和尚さんが見られたところが、ほんに本尊さんの口の縁に、いっぱいアンコがついとる。

 「見なはんしな(ご覧なさい)。食べとられましょうがな」
 「ウーン、そだなァ。そおんことがあるもんだかなぁ」
 「ならまあ、これ煮(に)てみなはんせ」
 和尚さんも人がええだけ、その本尊さんを大きな釜(かま)に入れて煮られなさった。そしたところが、クッタ、クッタ、クッタ、クッタって、煮え出いたや。


 「見なんせえ、和尚さん。食った、食った言われますがな。本尊さん、食われたんは本当のふうですぜ」
 「ウーン、本尊さんだけに、にわかには信じがたいが…確(たしか)にそう聞こえる。これ本尊さん、なぜにそんな行儀(ぎょうぎ)の悪いことをなされた」
と言って、和尚さん、仏さんの頭をゲンコツで叩(たた)かれた。
 そうしたところが、クワーン、クワーン、って、音がした。
 「見い、小僧。食わん、食わん、言われるがな」
 こう言われまして和尚さん、仏さんの頭をなで、かえす手で、小僧さんの頭にゲンコツを食らわしなさったそうです。

 むかしこっぷり。

「和尚と小僧話(食った食わん)」のみんなの声

〜あなたの感想をお寄せください〜

一番に感想を投稿してみませんか?

民話の部屋ではみなさんのご感想をお待ちしております。

「感想を投稿する!」ボタンをクリックして

さっそく投稿してみましょう!

こんなおはなしも聴いてみませんか?

犬と狼(いぬとおおかみ)

むかし、ある山家に年老いた飼犬がおったと。ある日、犬が家の前庭で寝そべっていると、家の者が、「おら家の犬も年をとって、ごくつぶしなったもんだ。皮でも剥いでやるか」と話しているのが聞こえた。

この昔話を聴く

寝屋川の三毛猫(ねやがわのみけねこ)

昔、河内(かわち)の国の寝屋川(ねやがわ)の里に、おしん婆さんという、それはそれは猫(ねこ)好きのお婆さんがおったと。はじめは二、三匹だった猫がたち…

この昔話を聴く

娘の助言(むすめのじょげん)

むかし、あるところに大分限者(おおぶげんしゃ)がおって、ひとり娘に聟(むこ)をとることになったと。聟は村の衆から選ぶことになって、村中に高札をたてた…

この昔話を聴く

現在883話掲載中!